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ロックマン エグゼ4 トーナメントレッドサン/トーナメントブルームーン 【ろっくまんえぐぜふぉー とーなめんとれっどさん/とーなめんとぶるーむーん】 ジャンル データアクションRPG 裏を見る 対応機種 ゲームボーイアドバンス メディア 64MbitROMカートリッジ 発売・開発元 カプコン 発売日 2003年12月12日ダブルパック 2004年8月6日 定価 各5,040円ダブルパック 6,279円(共に税5%込) プレイ人数 1~2人 レーティング CERO 全年齢対象 セーブデータ 1個(バッテリーバックアップ) 配信 バーチャルコンソール【Wii U】2015年3月25日/702円(税8%込) 判定 なし ポイント ソウルユニゾンが対戦の戦略性を大きく深めた計3回の周回前提の仕様に非難が集中周回前提の癖に面倒なお使いやダンジョン多めダークチップなどクセの強いシステムが多い ロックマンシリーズリンク ロックマンエグゼシリーズ ストーリー 概要 変化・追加点 評価点 賛否両論点 問題点 バグ・不具合 総評 注意点 余談 移植 ストーリー WWW(ワールドスリー)との戦いから5ヶ月… WWW本拠地から無事生還した熱斗とロックマンもついに6年生。 あわただしいながらも平和な日常を送っていた。 そんなある日曜日。 熱斗は、パパと一緒に久しぶりの買い物。 朝食をすませ、パパと一緒にデンサンタウンに新しくできた電気屋さんに行くと、偶然買い物に来ていたメイルややいとに出会う。 2人は店頭に置かれたステレオを見ていた。 「熱斗、今このステレオの電脳に、ロールとグライドがいるんだ。熱斗もプラグインしてみたら?」 メイルにすすめられて、ロックマンを電脳に送り込むと、その中には 鋭い眼光とあやしい雰囲気を持つ謎のナビ、シェードマンがいた。 「ククク、そろそろ食事の時間だ…。」 鋭い眼光をギラつかせてつぶやくシェードマン… この出会いが、これから起こる壮絶な戦いの始まりだったのだ… 公式サイトより転載 概要 ロックマン エグゼシリーズの第4作目。『レッドサン』と『ブルームーン』の両バージョンが同時発売された。 今作ではシナリオの間にいくつかのバトルトーナメントが開催され、様々な相手と対戦することになる。また、対戦の前には対戦相手に応じたショートシナリオが挟まれる。 今作以降タイトルの頭に「バトルネットワーク」が付かなくなった。 今作に対応する周辺機器として「バトルチップゲート」「改造カード」(後述)が発売された。 変化・追加点 スタイルチェンジに代わって登場した 新たな変身「ソウルユニゾンシステム」 トーナメントで特定のナビと戦うとロックマンとそのナビのソウルが共鳴し、戦闘中に「ソウルユニゾン」する事ができるようになる。 戦闘中にソウルに応じた属性のチップ(今作からはチップごとに「ソード系」「置物系」「炎系」などの属性が指定されている)を1枚いけにえにして変身。ソウルユニゾンするとロックマンの姿がそのナビを模したものとなり、3ターンの間、チャージショットや基礎性能など様々な面が変化する。 ソウルを共鳴できるナビはバージョンごとに分かれているため、バージョンによってできるソウルユニゾンも以下のように異なる。括弧内は初登場作品/対応チップ。 『レッドサン』 ガッツマン(1/地形) ファイアマン(1/炎) ロール(1/回復) ウインドマン(初登場/風) サーチマン(初登場/インビジブル) サンダーマン(2/雷属性) 『ブルームーン』 アクアマン(初登場/水) ナンバーマン(1/数字) メタルマン(3/ブレイク) ウッドマン(1/木) ブルース(1/ソード) ジャンクマン(初登場/置物) チップの溜め撃ち ソウルユニゾンなど一部の変身中限定で、対応する属性の非暗転チップをAボタン長押しでチャージできるようになった。溜め撃ち時の挙動は、変身によって「チップの威力を2倍にする」か「チップの威力を参照した固有攻撃に置き換わる」のどちらかになる。 ココロウィンドウの導入。 ロックマンの感情を示す物。戦闘中にHPの下に表示され、バトルにも大きく関わる。 普段は「通常」状態だが、ダメージを受け続けると「不安」になってソウルユニゾンができなくなる、強烈なダメージを受けると「怒り」で次のチップの攻撃力が2倍になる、と変わっていく。 また、ソウルユニゾン中はロックマンの顔もその通りに変化し、残りの変身維持ターンも表示される。 設定としては過去のシリーズにもあった「フルシンクロ」も状態として登場。敵の攻撃に合わせてカウンターをすることでフルシンクロ状態となり、次に使うチップの威力が2倍に。 フルシンクロ中はカウンターヒットできるタイミングで相手が赤く光るため、連続フルシンクロも狙える。 ただし、ソウルユニゾン中はフルシンクロ状態になれない。また、前作と違ってバグのかけら入手にも関わらない。 闇の力「ダークチップ」の登場。 バトル以外にシナリオにも絡む重要なアイテム。 通常のチップを遥かに凌駕する性能を誇るが、その分使う度に使用者の「ココロ」が闇に蝕まれ、最後には「ハメツ」が待つという、言ってしまえば麻薬のような代物である。 作中のキャラクターは絶対に使うなと言ってくるので言われた通りにするユーザーが大半、と思いきやタチの悪い事に ダークチップを使わないと絶対に勝てないイベント戦が存在するため、ユーザーはその強さを必ず認識してしまう。 そこまでのバトルで異様なほど苦戦した敵ナビですらアッサリ倒せてしまうという快感を知ってしまえば、ターゲット層である小学生であれば悪の道に走ってしまいたくなるのは道理であろう。製作陣もその辺りを苦悩してもらいたかったと思われる。 ゲーム中盤以降、戦闘中にココロウィンドウが「不安」状態になると勝手にチップフォルダに出現する。 この時ロックマンの「ココロのヤミ」を付け狙うかのように、画面が暗くなると共におぞましい効果音が鳴り響く演出が入る。 当時のCMでは 「ダークチップヲ ツカイナサイ…」「ツヨクナリタインダロウ? ツカイナサイ…」 と男性の独特かつ不気味な声でこのシステムを強調していた。 使用するとココロウィンドウが「悪」状態になる他、使用したダークチップ毎に応じたバグが発生する。その上、 戦闘終了後に最大HPが1減少してしまう。 失った最大HPはHPメモリやナビカスを駆使しても二度と元に戻らない。 永続的にステータスが低下しゲーム内で元に戻す手段が存在しない、という仕様は他のRPG等を見渡してもあまり類を見ない、かなり独特なもの。 使用すると戦闘終了後にロックマンの色が暗くなり、その後もダークチップを使い続けると完全に真っ黒になる「闇のロックマン」に。この状態だと戦闘開始時から「悪」状態になる。 性能も変化。ソウルユニゾンとフルシンクロができなくなる、悪限定チップが使えるなど。また、1度だけ、HPが0になる攻撃を受けるとHPを1残して「ダークソウルユニゾン」状態になる。いわゆる暴走状態で、一定時間操作を受け付けなくなるが無敵状態になってプレイヤーがよく使うチップを自動的に使用するようになる。 悪のロックマンはダークチップを使わずに戦闘を続けても元のロックマンに更生できず、ナビカスパーツ「ソウルクリーナー」を装備する必要がある。一方、通常からダークチップを使わずに、ナビチップやソウルユニゾンを駆使して戦い続けると、光るように色が明るくなる「善のロックマン」になる。フルシンクロやココロウィンドウにも影響を与えるように。 ソウルクリーナーは5+5の巨大な十字型で、装備すると他のプログラムは一切組み込めなくなるため、悪状態を脱するまで一種の縛りプレイを強いられることになる。悪の道に走った罰というメッセージも込められているのだろう。 トーナメントにより進行していくシナリオ。 基本的に一本道なシナリオが展開される本シリーズだったが、本作では3回のトーナメントを基軸としたシナリオになっており、対戦相手によってそれぞれ話の内容が異なる。 対戦相手はまったくのランダムというわけではなく、「ノーマルナビ・ヒールナビなどの汎用ナビ」「固有の外見と名前を持つナビ」「ソウルユニゾンができるバージョン限定ナビ」とそれぞれ1回ずつ戦うこととなっている。 対戦相手ごとのストーリーはあまり長くはないものの、あまり出番のなかった過去作キャラにスポットが当てられていたり、固有のミニゲームや強いキャラ付けによる独自の味がある。 他、バトルに関しての変更点。 暗転チップのカットインシステム。暗転チップとは、使用すると数秒だけ時間が止まるとともに画面の暗くなる演出が発生するもの。これまでは演出でしかなかったが、今作から相手の暗転チップに合わせて自分も使用すると、割り込んで先に使えるようになった。 「バリア」や「インビジブル」も暗転チップになったため、通信対戦では相手のナビチップの使用を見計らって無敵状態の「インビジブル」を使うなど、より戦略的なバトルが可能になった。 相手エリアの最後尾を「エリアスチール」などで奪えなくなった。 ソウルユニゾンの登場に伴い、不要なチップを捨ててその分選べるチップを増やす「ADD」コマンドが廃止された。 ナビチップのランク付けの変化。 これまでのV1~V3のように数字ではなく、「通常」「SP」「DS」の3種類に分けられるようになった。 SPは善のロックマンしか使用できない。インターネット上に徘徊するSPナビのデリートタイムによって威力が変化する。 対して悪のロックマン限定の「DS」はフィールド上に「ダークホール」があると威力が上昇。ダークホールは特定のチップを使用することで生じる。 戦闘中、敵エリア内に「ミステリーデータ」が登場するようになった。壊さないようにして勝利すればリザルト画面で追加のアイテムが得られるが、敵・味方問わず一発でも攻撃が当たると消滅してしまう。 特定の商品を用いた機能やシリーズ外のソフトとの通信要素の登場 「改造カード」によるロックマン強化。 別売の「カードe+(本シリーズでは改造カードと呼ぶ)」と「カードeリーダー+」を用いることで、ナビカスとは別に更にロックマンを強化する事ができる。 単なるステータス強化をするものもあれば、バスターの性能を根本から変化させるものも存在。さらに戦術が豊かに。 これを使用した状態でインターネットの最深部に行くと、本来そこでエンカウントするナビが「最凶のナビ」になる要素も。 VC版では改造カードの要素はないものの、コマンド入力によりそのナビと戦えるようにはなっている。 オペレーションバトルの追加。別売の「バトルチップゲート」を使うとプレイ可能。 オペレーションバトルでは通常のバトルとは異なり、ロックマンを直接操作せずにプレイヤーはオペレーティングに専念する事になる。また、ロックマン以外のナビも操作可能に。 別売の「バトルチップ」をバトルチップゲートに差し込むことでロックマンはそのチップを使用するなど、アニメ版のようなリアリティあるプレイが可能になる。 特典としてそれぞれのバージョンに対応したバトルチップ(*1)が1枚付属する特別版も販売されていた。 後にこのバトルに特化した『ロックマン エグゼ4.5 リアルオペレーション』が発売された。 PETのデザインが変更。よりコンパクトになった他、無線通信が可能なモデルとなった。 前作同様、PETは玩具としても発売された。オペレーションバトルで使うバトルチップに対応している。 『ボクらの太陽』とのクロスオーバー。 『ボクらの太陽』に関わるストーリーがある他、ジャンゴとオテンコサマがゲスト出演。また、太陽銃ことガンデルソル(*2)がバトルチップとして登場している。 逆に『ボクらの太陽』シリーズにもロックマンがゲスト出演している。 このクロスオーバーは新シリーズの『流星のロックマン ペガサス/レオ/ドラゴン』まで続いた。 『ロックマン ゼロ3』との通信機能。 通信するとエグゼ側では「Zセイバー」のチップを入手し、ゼロ側ではサイバー空間に登場する敵がエグゼシリーズに登場するウイルスになる。 評価点 バトルシステムの大幅な見直し。 『1』『2』の対戦バランスはかなり悪く、『3』では大幅に改善されたがそれでも細かい問題が存在していた。本作は「ソウルユニゾン」や「カウンターによるフルシンクロ」「ダークチップと善悪の別」「カットインシステム」、そして「改造カードによる更なる強化」など多数のテコ入れによりバトルの戦術と駆け引きが大幅に増した。 『レッドサン』と『ブルームーン』で変身できるソウルは全く異なり、基本的に『レッドサン』のソウルはテクニカル系寄りで『ブルームーン』のソウルはパワー系が多い(*3)。このため、 今作のバトルは購入前のバージョン選びの段階から既に始まっていると言える。 特に「カットインシステム」のおかげで相手の手を読む熱い駆け引きができるように。「今作から通信対戦が一気に楽しくなった」という声は多い。 次回作の『5』でもこれらの要素はすべて引き継がれ、のちのシリーズの礎を作った。 マップグラフィックの大幅な変化 『1』~『3』は暗めの配色がされていたが、本作以降は明るい色が多用されている。マップ画面での登場人物の頭身も下がった他、顔アイコンはすべてが新たに描き直されてスッキリとしたものになった。 頭身が下がったのは、そうやってドット数を節約する必要があるほどに容量がカツカツだったからとのこと。 このグラフィックの変化も本作以降に引き継がれている。 移動周りの簡略化。 マップ間の移動ではいちいち切符を買う必要はなくなり、駅に入ったら目的地をすぐに選べるように。 電脳世界も様々な場所に「バナー」や「相互リンク」と題したワープポイントを貼れるようになった。自宅のパソコンから様々な場所に行ける。 シリーズでは初めて「ノーマルナビ(*4)」「ヒールナビ(*5)」として、汎用モブのナビが敵キャラクターとして登場する。 攻撃手段も「キャノン」「ソード」「ミニボム」など、いかにもモブらしい攻撃を行ってくる。 ウイルス等と同じく周回に応じて強化されるが、最上位クラスになると「メガキャノン」「ファイターソード」「グレイテストボム」「オウエンカ」と攻撃手段が大幅に強化されるため、下手なネームドナビより厄介な相手となる。 ヒールナビはこれまでウイルスをけしかけてくるだけだったイベントでも、直接本人が襲ってくるという展開が見られるように。 一部のシナリオイベントは非常に評価が高い 特に、序盤の「ポンタくん」イベントは涙腺崩壊イベントとして高く評価された。 シナリオの題材「善と悪」自体は良かった 人によっては「電脳空間が舞台のエグゼに善と悪などのような概念的なテーマはふさわしくない」というプレイヤーもいるが、 主人公たちが行ってきた正義も人によっては悪に見える というのは非常に考えさせられるものがある。 特に、ラストの黒幕が主人公たちに言ったセリフは人によっては思わずドキッとしたのではないだろうか。 賛否両論点 ソウルユニゾンについて 上記の通り、このソウルユニゾンのおかげで戦いの駆け引きや幅が広がったのは事実だが、一方で多少なりともフォルダの構築の自由度が狭まること、レギュラー指定したチップはソウルユニゾンに使用できないという癖があり、過去作のスタイルチェンジや次々回作のクロスシステムに比べると扱いづらいのは否めない。 特にボス戦やクーモス等の手強いウィルスを相手にするとき、上記の癖の強さのせいでソウルユニゾンが発動できず戦局が大きく崩れて死んでしまうことも少なくない。 発動条件以外のシステムの完成度が高いだけに、せめてレギュラーチップも生贄にできていればと思うと非常に勿体無いといえる。 問題点 周回システムの仕様。本作はシリーズでも評価が低めな傾向にあるが、多くはこれが原因。今作ではラスボスを倒すと、再開時に「前回セーブから始める」と「新しい周を始める」から選ぶこととなり、後者を選ぶと新たな周での冒険が始まる。とは言ったものの、本作は3周まで周回することが前提の内容で作られている。 1周目クリアだけではソウルユニゾンは 3種類しか手に入らない 。2周目でさらに2つ、3周目でやっと最後の1つが手に入るため、3周が必須となっている。しかし、最初にガッツソウル(レッドサン)/アクアソウル(ブルームーン)が固定なのを除き、どの周でどのソウルが手に入るかはランダム。よって、サーチソウルやブルースソウルと言った強力なソウルを3周目までお預けにされてしまう事もあり、ゲームの難易度にも決して小さくはない影響を及ぼす。ソウルユニゾンのコンプリートは対戦面にも関わる他、隠しシナリオに進む条件の一つでもある。そもそも売りである要素が3周しないとコンプリートできない時点で明らかにおかしい。 バトルチップやナビカス、サブメモリ・HPメモリなどの強化要素もコンプリートのためには最短で3周することが求められている。次周に進む際、取り忘れた固定ミステリーデータの中身は変化せずにそのまま次周に引き継がれるため、取り忘れがあるとコンプリートに4周目以降が必要になる場合が生じる。(とはいえこの仕様のおかげで取り返しがつかない事態に陥る事はないとも言える) 新しい周で起きることは「冒頭のチュートリアル3連戦での各種解説がカット」「ミステリーデータの中身が変化」「トーナメントの対戦相手がシャッフル」「出現ウイルスのパワーアップ(メットールは2周目だとメットール2に、3周目以降はメットール3になるなど)」だけ。トーナメントの対戦相手イベント以外、ゲーム内容やストーリーの大本は一切変わらない同じゲームをプレイすることになる。 ウイルスは周回性に伴い、EXという強化型が登場。2周目だと「メットール2」とその強化版の「メットール2EX」が出てくると言った具合。しかし、落とすチップは通常もEXも同じ。1周目では強いチップを入手できないし、敵ばかりパワーアップしている感がある。(*6) 攻撃力の強化も著しく、2周目の序盤で出てくる「メットール2」や「ゲイラス」が80ダメージ、「ガルーバー」が90ダメージ、比較的低めの「ビリーズー」「ラウンダラウ」ですら60ダメージと軽く被弾するだけで命取り。 最強形態「○○3EX」となるとウイルスのHPは300前後がザラになり、攻撃は一撃で200ダメージも。シリーズで最高クラスのバリア「ドリームオーラ」すら役に立たなくなる(これ自体、3周目でないと入手できないが)。前作でこの威力を持つのはイベント出現する形態のみのため、通常エンカウントすらちょっとしたボス戦の強さに相当と言える。「クモゲイツEX」「サーキランドEX」「ボムレイバーEX」「ダーダラEX」等は多くのプレイヤーを苦しめた。 このほか、周を重ねるにつれてミニゲームで失敗するたびに受けるダメージも増加し、必然的にそれらの難易度も上がっていく。 2番目のトーナメント会場となる「シェロ・カスティロ」で起こる固定イベントは、どれもテンポが悪く周回制にそぐわない。 「ぬいぐるみロボの電脳」は遊園地で暴走したロボットを止めるために、電脳世界をイカダで移動しながら物語を完成させるというもの。ストーリーの長さこそそれなりだが、イカダ移動も物語の朗読もスキップできない上、合計4つの似たような電脳を攻略しなければならない。これが周回制なので毎回発生するのが最大のストレス要素。もちろん物語が変わるわけでもない。 トーナメントの予選としてバトラーズポイントを集めるというものもあるが、色々な場所を調べたり人物に話したりを繰り返してちまちまと50ポイントも集めなければならない(*7)。攻略サイト等を見ながらでも面倒臭く、周回制でやらされるには不適当として不評。 細い道を通るのに必要な「Cスライダー」やセキュリティ扉の解除に必要な「ネビュラコード」は入手までに手間もゼニーも掛かるが、次周に引き継げない。 トーナメント性のシナリオゆえの弊害。 本作のストーリーは「善と悪」「ダークチップ」を中心にしているが、本編でそこに深く切り込んでいるのは計3話分の固定シナリオとブルームーン限定のブルースイベントくらい。本筋のトーナメントがそれらにあまり関わらないこともあり、単発のストーリーとしてはやや薄味な仕上がりになっている。 対戦相手ごとのイベントは短いとはいえ、おつかいに終始するものが多い。フォルダが弱いサブフォルダに固定されるスパークマン、電脳世界で操作が正反対になってしまうビデオマンなど、わずらわしいイベントも多い。また、全国大会編では2バージョン計8人いる対戦相手のうち半数が「オブジェクトに対処しながらパークエリアの最深部まで向かう」ものだったりする。(*8) 両バージョンで共通して登場する対戦相手のナビ及びそのオペレーターは、ソウルが共鳴しないというシステムの都合上か、勝つために卑怯な手段を用いたり迷惑行為で周囲を困らせたりと、人格面に難のあるキャラが多い。かといって歴代のボスキャラ達のような極悪人というほどでもない(*9)ため撃破してもいまいちすっきりしないうえ、善と悪の対立という本作のシナリオにも余り合っていない。 隠しシナリオのボリュームが前作までと比べて格段に下がっている。 ソウルコンプリート後(要3周)に入れるようになるウラインターネットのエリアが1つ。そこではシリーズ恒例のフォルテ戦や、隠しチップ獲得に関連したイベントが起こる。 それらを完了させると隠しエリアに入れるようになるが、こちらはなんと2エリアで終わってしまう。出てくるボスもこれまでに登場したボスの強化形態だけで、新たな裏ボスは居ないためなんとも味気ない。 過去作のシナリオと照らし合わせると今作のシナリオに矛盾がある。 例えば、3で引っ越していったデカオが何の説明もなく秋原町に戻っていたり、同じく3で逮捕されたヒノケンが何食わぬ顔でシャバに出ているどころか、公式の大会で顔出ししていたりする。 意図的な仕様だが、シナリオにおける悪のロックマンが不遇。 前述の通り、 ダークチップを使うと戦闘終了後に最大HPが-1され、二度と戻らない。 隠しシナリオをクリアすると善のロックマンへの更生を早めるナビカスパーツが貰えるのだが、 失ったHPは取り戻させてくれない。 さらにHPは周回で引き継がれる要素なので、永遠にHPが失われることとなる。 シナリオの都合上、ラスボス戦ではダークチップを使用できず、悪だと非常に難易度が高くなる。ダークチップ連発で簡単に倒せても困るだろうが…… 戦闘でダークチップを使わないとロックマンが善に傾いていくため、悪状態を維持すると最終的に最大HPが1になってしまう。 攻略本で極端な悪状態だと善には向かわない、と書かれてはいるがゲーム中では悪と極端な悪を見分ける方法はない。極端な悪になる参考回数が書かれてもいるが、戦闘回数を数えている人はまずいないだろう。 もっとも、主人公たちは悪を倒すべき立場にあり、それが前提でストーリーが進行する。ダークチップを使わないように忠告されるし、デメリットも存在するなど、シナリオを通して善の立場でのプレイに誘導することで、シナリオとの矛盾を起こしにくくさせている。 一方、通信対戦では悪のロックマンが調整不足により大暴れ。 「ダークソウルユニゾン」中はよく使うチップやプログラムアドバンスをランダムで使用するため、あらかじめ強力なものを大量に使い込ませておくと 無制限に強力な攻撃を使いまくる凶悪戦闘兵器と化す。 このため、やり込みプレイヤー同士の対戦では善の方が不利になる。悪限定のチップの方が善限定のチップよりも軒並み強いことも拍車をかけている。 せっかく通信対戦の駆け引きが増したのに、ダークソウルユニゾンのせいでバランスが崩れてしまった。 ラスボス「デューオ」がシリーズ屈指の強さ。 本作は周回制の採用やゲームバランス調整でチップの威力が低く設定されており、HP2000を削り取るには中々骨が折れる。悪ならダークチップが使えないので尚更。その上、移動直後の一瞬及び攻撃中のコアが赤い時にしかダメージが通らない。ブレイク性能や対インビジ性能を持つチップも例外ではない。適切なタイミングで攻撃できないと無駄打ちで余計にジリ貧になったり、自分が大ダメージを負ってしまいやすい。 デューオは敵エリア後方の縦3マス×横2マス間に存在するが、そのスペースは穴となっているため、「エアホッケー」など強力なチップが性能を発揮できない。元から穴になっている仕様を突いて「カンケツセン」を採用する選択肢はある。 攻撃もかなり凶悪で、広い範囲を対象とし回避の難しいジャイアントフックや、インビシ状態でも被弾するデストロイレーザーが強烈。おかげでダメージを与えられるタイミングは余計に限られてくる。 こんな調子なのに周を重ねるごとにパワーアップまでしていく。3周目のV3ともなるとHP3,000に至る他、すべての証を手に入れると戦えるSPに至っては3,500にまでなる。 そしてそのとんでもない性能のラスボスが 1周目から容赦なく襲い掛かってくる。 こちらは従来作における中盤程度の戦力の上に、フルシンクロによる火力アップもできないため苦戦が必至。(*10) 前座として「ロックマンDS」戦との連戦を、セーブなし且つフォルダ変更なしで強いられる。 性質の大きく違うボスと連戦となるため、一方に効果的だがもう片方には死にチップとなりやすいチップに悩まされる。前述の「カンケツセン」が分かりやすい例であり、ロックマンDS戦では穴がないため、どうにか作らなければカンケツセンは死にチップに。しかし穴を作る手段をチップに任せるとデューオ戦でそれが死ぬ……というジレンマに陥る。特に1周目で顕著。 そのロックマンDSもこちらとHPやナビカスを共有している上に、こちらの使用チップを学習して使ってくるため回避がしにくく、強敵ではないが面倒な相手(*11)。デューオ戦の際には全回復できるのだが、何度も挑戦する際には煩わしい。 バグのかけらの集めにくさ。 『3』では隠しシナリオ攻略に必須なので、特定のナビをひたすらカウンターで倒しまくる必要があったのだが、本作では攻略に一切絡まなくなった。 その代わり ミステリーデータからでしか入手できなくなったため、集めるのが非常に面倒になった。 バグのかけらとの交換でしか手に入らないバトルチップやナビカスパーツは多いので尚更面倒。 この問題は『5』『6』にも同じように引き継がれた。 PET画面が『3』から流用されており、チップ編成時やライブラリで画像データの外側が不自然に空いている。 関連商品「改造カード」「バトルチップゲート」のみのパワーアップが多く見られる。 この傾向は今後のエグゼシリーズ、ひいては『流星のロックマン』にも継がれる問題点となる。 シナリオをクリアしても、現実世界のBGMが平常時のものに戻らず、緊迫時のものに固定されたたままとなる。 前作まではクリアすればBGMが平常時のものに戻り、その場所によって変化するBGMを楽しめただけに残念極まりない。 或いは、緊迫時BGMのままが嫌ならさっさと新しい周に行け、という事なのだろうか? 恐怖のSPナビ ストーリーで倒したボスは特定の場所に行くとパワーアップしたV2ナビ(二周目以降はV3)と戦闘となる。それを倒すとさらにSPナビにパワーアップしたボスがそのエリアを徘徊し、ランダムエンカウントするようになる。ここまでなら前作までのV3ナビと同じなのだが、問題は体力が一番少ないナビですら HP1500以上 ある上に、どのナビも攻撃力がデフォルトで 200は下らない ほど強化されていること。ただでさえロックマンのHPを最大まで強化し、チップの火力を整えた状態ですら油断すると瞬殺されるほどの強敵なのに、条件を満たせばパワーアップもチップの火力を整えるのもままならない一周目で平然とやってくるのだからたまったものではない。せめてロックマンの強化が整う三周目に入ってから出現するようにしてほしかったところである。 倒すだけでもかなり難しいのだが、SPナビチップの入手・強化も考えるとさらに難易度が跳ね上がる。SPナビチップは、対応するSPナビをバスティングレベルS( 被弾無しで30秒以内 )で撃破が条件。これだけでも十分大変なのだが、SPナビチップの攻撃力はデリートタイムで変動する仕様になっている。そして最大火力にするためには 10秒以内 で該当SPナビを撃破しなくてはならない。前作の3も、強いナビチップを手に入れる条件は難しかったが、こちらの場合は今作ほど条件が理不尽ではなかったし、ボスナビのスペックもさほど極端ではなかった。さらにチップの火力が全体的に高めであったため今作ほど問題視されていなかった。 結果として、うっかり戦力が整わない一周目でV2ナビを倒してしまったことで、SPナビと鉢合わせにならないように祈りながらマップを探索する羽目になったプレイヤーが後を絶たなかった。この仕様は次回作の5まで続いたが、さすがにスタッフもやり過ぎと感じたのか、6ではSPナビのスペックは3のV3ナビと同じくらいにまで弱体化した。 一部の徘徊ナビについて 徘徊ナビは特定のエリアで低確率でエンカウントするのだが、その確率を上げる方法はロックマンのHPを高めてシノビダッシュを使うことが主になる。しかし、徘徊ナビの中にはシノビダッシュの効果が発揮できないエリアにいる。当然、一度会うだけでも一苦労。 一応、シノビダッシュ以外で徘徊ナビのエンカウント率を上げる方法はあるがシノビダッシュほど効率がいいわけではないのでやはり面倒なのに変わりはない。 しかも、ブルームーンの徘徊ナビはレッドサンより上記に該当するナビが多い始末である。 前作までのV2に該当する、無印-SP(DS)の中間の強さを持つナビチップが手に入らなくなった。同系統ナビチップの絶対数が減るのは勿論、この1枚の差が「該当ナビチップを引き当てられるか」に大きく影響する。これにより、フォルダに同系統のナビチップをできる限り入れてナビチップを引きやすくするという戦術が使いづらくなってしまった。 バグ・不具合 セーブデータが消失しやすい。 中でも初期版であるカートリッジが赤および青の物はそれが顕著である(*12)。周回制のわずらわしさと合わせて本作の評価を下げる大きな要因となっている。 確固たるソースは無いものの、チート対策の暴発(チェックサム異常)や接触不良が起きやすいことが原因と言われている。 このデータ消失は『ロックマン ゼロ3』との連動にも大きな影響を与えている。『ゼロ3』側から『エグゼ4』にチップ「Zセイバー」を送ってもらう事ができるのだが、『ゼロ3』側からはチップ送信フラグを覚えているのか 一度しか送る事ができない。 (『ゼロ3』のセーブデータを通常の方法で消しても復活しない) バーチャルコンソール版であれば消失の心配はないため、今からプレイする際はそちらを推奨。 バグがそこそこ多い。 ウインドマンシナリオで通常であれば居なくなるNPCに話し掛けるとフリーズ、クラッシャーイベントの悪ナビに話しかけるとフリーズなど、一切操作できなくなるバグが特に多い。念のため調べておくことをお勧めする。 シェードマンSPをダークチップで倒すとリザルト画面で本来存在しない「シェードマンDS S」(通常のチップコードはX)が表示され、何も手に入らないというバグも確認されている。 相手がステルスマインを踏んだ瞬間に暗転させるか、カスタム画面に入ると敵を瞬殺出来るバグがある。リペアーを使うと設置場所にエフェクトが表示されるためボスをその箇所に誘導すると簡単に発動できる。これを使えばナビSPやフォルテでさえも10秒足らずで瞬殺できてしまう。当然、ゲームバランスは崩壊するので使用は自己責任。 バグとは少し異なるが、後述の注意点にも目を通しておく事をお奨めしておきたい。 総評 GBAの「期待外れだったゲーム」という項目になるとよく名前が載る作品である。 これは前作『3』が傑作で期待されていたこと、アニメや漫画などのメディアミックスが盛んだったこと、雑誌やポスターなどで宣伝されていたことなどに起因する。 周回制を採用したことによるさまざまな弊害がプレイヤーのやる気を削いでしまう結果となった。 また、周辺機器と連動しないと出来ない遊びなど商法においても問題点が散見される。 しかし、新しいバトルシステムは好評な物が多く、それらは次作でも多く引き継がれた。 ソウルユニゾンやココロウィンドウは通信対戦の駆け引きを深め、今後のシリーズにてさらに対戦バランスの完成度を高める一躍を担った。 総じて、良くも悪くもロックマン エグゼのターニングポイントとなった作品である。 WiiUバーチャルコンソールが終了してしまったのでフォルテXXと一戦交えるのは絶望的だが、戦いたいのなら素直にレトロフリークかアドバンスドコレクションでプレイしよう。 注意点 ニンテンドーDSでプレイすると正常に動作しない 本作をDSでプレイするとウッドマンのイベントにおいて戦闘終了後などに音楽が流れたまま画面がブラックアウトしてフリーズし、シナリオが一時進行不可になる。 気長に待っていればそのうち正常に進行するが、クリアまでにはかなりの時間を要する。 DSはアドバンスより高い電圧が流れたり、一部のソフトに対応していないため起こる不良とも考えられる。 また、DSでプレイしている際に、ガッツマンなど一部のナビチップの暗転中の動作が重くなる。フリーズと言った支障は確認されておらず、暗転中なので回避されてしまうなどの影響も無いのが救いではある。 国内でDS本体が発売されたのは2004年12月2日。『ダブルパック』発売日より後のため、仕方がない部分もある。 余談 本作の作曲を担当した堀山俊彦氏は、後に同社の『逆転裁判4』における作曲も担当することになる。 特徴の項目でも触れたが、発売当時のCMは相当印象に残るものとなっており話題を呼んだ。 独特且つ不気味な声でダークチップの使用を勧める男性の他に、「ダメー!」「ツカワナイデー!」とダークチップを使わない事を懇願する女性の声も流れる。 エグゼシリーズが完結した現在でも、ファンによってこのCMがネタにされる事がある。男性の台詞で検索すれば割と簡単に動画が見つかるので、未見の方も1回は目を通してみて欲しい。 別Verとしてダークチップを使わないでという女性の声から始まるCMもある。こちらでの男性は ラスボスの格好に扮して ツカエ!と言った後に高笑いするだけと不気味さをより演出している。 発売から18年を経た2022年初頭に「Zセイバー」のロットナンバーが掘り起こされるという異例の発見がなされた。 どうやら救済措置として仕込んでいたようで、やはりロックマン ゼロ3側から一度しか送れないというのは問題があると考えていたのであろう。 移植 Wii Uバーチャルコンソールで『レッドサン』『ブルームーン』の両方が配信されていた。 通信機能を使用できないが、メニュー内の「つうしん」を選択することで、通信機能を使用して入手できるチップを入手できる。 タイトル画面で「十字ボタン左、Lボタン、スタートボタン」を同時に入力することで、本来は改造カードを使用した時のみ戦えた「最凶のナビ」と戦えるようになる。 『4 トーナメントレッドサン/ブルームーン』『5 チーム オブ ブルース/チーム オブ カーネル』『6 電脳獣グレイガ/電脳獣ファルザー』をセットにした『ロックマン エグゼ アドバンスドコレクションVol.2』がSwitch/PS4/Steamで2023年4月14日にダウンロード販売。 『ロックマン エグゼ アドバンスドコレクション』として『Vol.1』とセットになったパッケージ版も同日販売。 Wii Uバーチャルコンソール版と違い、改造カードもいつでも呼び出せるよう機能追加がなされている。 新規実装されているネット通信対戦においても改造カードを適用したロックマンで対戦ができるが、バランス調整のため「オールガード」は禁止されており、使用中は対戦できないようブロック処理が施されている。 当時のデータはそのまま移植されているため、AIまわりのデータ蓄積による不具合はそのままの可能性がある。
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ドラゴンズレア 【どらごんずれあ】 ジャンル アクション 対応機種 ファミリーコンピュータ メディア 2MbitROMカートリッジ 発売元 EPIC・ソニーレコード 開発元 Motivetime 発売日 1991年9月20日 定価 5,900円 判定 クソゲー ゲームバランスが不安定 ポイント 動きが滑らかすぎて操作しづらい主人公即死 配置が鬼畜な罠の数々城に入ることすらできずにGAMEOVER気づいたら白骨化していた頑張ればクリアできるが頑張りたくない ドラゴンズレアシリーズDragon s Lair / FC版 / II TIME WARP / III / 3D 概要 システム 問題点 評価点 総評 その後の展開 余談 概要 1983年に稼働開始したアーケードゲーム『Dragon s Lair』の世界観をモチーフとしたアクションゲーム。 よって、今作はリメイクされた同名の別タイトルと言えるものであり、内容自体は全く異なる。 元々は1990年12月29日に海外で販売されたものとなっており、本作はその移植作にあたる。 システム 横スクロールのステージクリアタイプのアクションゲーム 単純に奥まで進み、各ステージでボスを倒せばステージクリア。 ある程度進めた後には、ステージクリア後にエレベーターで次に進むステージを選択可能。 中にはトラップ部屋や前のステージへ戻されるトラップも存在する。また、エレベーター部屋もステージの一つであり、飛び移る際にもきちんと飛び移らないと即死する。 残機+ライフ制 体力ゲージは一部の敵の攻撃で減る他、武器の使用でも減る。 問題点 アニメーションに凝ったゆえの操作性の弊害 滑らかな動きが特徴であるがそれゆえに、主人公の動きがゆったりしていて遅く(北米版はさらに遅い)、移動も攻撃も回避もワンテンポ動作が遅れてしまうためにとっさの行動を変えることが非常に難しい。 下記の通りゲームそのものも難しいのだが、操作性の悪さが更に拍車をかけてしまっている。 結果、原作での成功シーンのきびきびとした動きは一切再現されておらず、やっていて爽快感もない。 難しすぎるゲーム内容 まず主人公のグラフィックが大きい上に、全身に当たり判定があるため攻撃に当たりやすい。この仕様のせいでしゃがむと当たり判定が横に広がってしまう。 にもかかわらず、ゲーム中に登場する敵や罠の大半は当たると即死(白骨化(*1))する。 上記、挙動の重さで分かっていても即死してしまう事も多い。 ステージ4では凹凸のある天井にぶつかってそのまま落下死につながることも多い。 コウモリなどの左右に飛んでくるザコ敵は当たってもHPがちょっと減るだけで済む(時間経過でも少しずつ減っていく)のだが、 即死ばかりするせいでHPにはほとんど意味がない。 体力ゲージが「E」と馴染みの無い表記になっているため(*2)、初見では何のゲージであるか気づきにくい。更に通常であれば重要なゲージにも拘らずプレイヤーの目線から離れた右上に置かれているため、 主人公の身長はゲーム画面の高さ(ゲージ表示などを除く)の 3割ほどを占める。 原作でもかなり長身に描かれているのでそれを再現したものと思われるが、ゲームデザインとはまるで噛み合っていない。 主人公の武器はD(短剣)、A(斧)、F(火の玉)の3種類があり、それらのアイテムを取ることでその武器に切り替えられるのだが、このアイテムの中に初期装備であるDが混ざっているのが曲者。 Aの斧が一番使いやすいのだが、これを所持している状態でDを取ってしまうと初期装備に戻ってしまう。つまりDは実質弱体化アイテムとなっている。そのためなるべく避けて通りたいのだが、それを見越したかのように絶妙に邪魔なところに設置されている。嫌がらせ以外の何物でもない。 敵や罠の配置がシビアで、初見殺しのものが多い。 突然現れる敵や落とし穴、動く足場といったアクションゲームではおなじみのトラップも、当たり判定が大きくとっさの回避が難しいこのゲームでは凶悪な存在となる。 しかも動く足場は動きに合わせて前進しないと落ちる。 また、狭い通路に杭が仕掛けられていたり、上下に仕掛けられた横向きの回転棒をしゃがみとジャンプを切り替えながら抜けなければならなかったりする。 しかも、後者は着地した先に落とし穴が仕掛けられているという鬼畜ぶりである。この罠があるステージ4は本作で最難関のステージとされる。 最終ステージのドラゴンもしゃがんでから攻撃しないとまともに倒せない。 ゲーム中盤にある、ステージ移行用のエレベーターも初見殺しの罠になっている。 上から下へと降りていき、各階で一定時間止まっては降りていくのだが、 どの階がどこへ繋がっているかは完全にノーヒントにも拘らず、正しい出口から出ないと前のステージに戻されてしまう 。このエレベーターが3か所にも亘って登場するので、頑張って鬼畜ステージをクリアしても全てが水泡に帰すことになる。 そもそもエレベーターと降り口の間をジャンプする必要があり、届かなければもちろん即死。挙動の重い本作ではこれも致命的。 理不尽さは最初のステージで十分に堪能できる。 橋を渡って門番のドラゴンを倒し、城の扉を開けて中に入るという、わずか1画面のステージなのだが…。 橋はところどころ床が抜けるようになっており、立つ位置が悪いと落下死する。微調整が難しいこのゲームでは、床が抜けたらほぼ確実に死亡する。 ドラゴンは主人公が画面の中ほどまで進まないと登場しない。そのまま倒そうとすると近すぎてドラゴンに当たってしまうので、すぐに引き返して距離を取る必要があるのだが、ドラゴンはこちらがしゃがんでいると首を引っ込め、こちらが攻撃したり移動しようと立ち上がった途端に炎を吐いてくるという嫌らしい行動ルーチンを持っている。 主人公の初期装備である短剣はまっすぐ飛ばすことができず、重力に従って失速して落ちてしまうため非常に当てづらい。 ドラゴンを避けて進むこともできるが扉は開かないので先に進めない。また、閉じた扉にぶつかるとなぜか即死する。 + 参考動画 武器使用による体力減少も地味に痛い。 大抵の場合、即死トラップで死ぬのでゲーム全体で見ればそこまで影響はないものの、途中で雑魚からダメージ受けすぎると、実質詰み状態になる。 ボスは武器を使用した攻撃でしか倒せないので、ボス撃破に必要な武器使用回数以下の体力になると実質的な詰み状態。 コンティニューは存在しない。 ライフ(残機)を30から始められる(通常は5)裏技もあるが、一定以上のハイスコアがないと使えない。操作とステージの内容に習熟していないと裏技も使えないし、使えても難易度が難易度だけに焼け石に水である。 評価点 原作がアニメーションを売りにした作品だけあって、背景も含めたグラフィックがファミコンとは思えないほど美しく、主人公も敵キャラクターもよく動く。特に主人公の一挙手一投足の滑らかな動きは特筆に価する。 LD版のストーリーの流れや場面はそこそこ再現している。 かといって死にやすく、初見殺しが多い所まで再現されても困るのだが。 総評 原作であるレーザーディスクの持ち味や雰囲気を踏襲しつつ、アクションゲームとした本作。 しかし、元から高い難易度設定を、操作性周りの不備や難が更に高めてしまい、終始ストレスがたまる出来栄えと化してしまった。 理不尽なアクションゲームが多いFCの中でも屈指の難ゲーといえる。 原作のLD版自体が難易度の高さで有名だったため、その点だけは原作譲りと言える点だろうか。 その後の展開 後にGB・SFC・ジェネシス(海外メガドライブ)にも移植されている。 システムはFC版と異なっているが、難易度が高いことに変わりはない。 ただし、SFC版は名前が「ドラゴンズマジック」になっている。 GB版は、合計194個もの命の石のかけらを全て集めないとクリアできないため、難易度はFC版をも凌ぐ。 また、LD版の初代をベースとした3Dアクションゲーム『Dragon s Lair 3D』がUBIソフトから2002年にGC・Xbox・Windows版、2004年に欧州限定でPS2版が発売されている。 余談 「フローティングリザードキング」(王冠をかぶって浮遊するトカゲのような、得点アイテムを盗む敵)という敵が画面に登場すると、ザコもボスも関係なくすべての敵が消えてしまうという仕様(?)があり、これを利用するとラスボスを倒さずにクリアすることができる(北米版ではできない)。 主人公が杭に潰されると兜と足だけになって少しだけ動けるのだが、その姿がカタツムリにしか見えないため、「潰されるとなぜかカタツムリに変身する」と誤解されることも多い。 一部で妙な知名度を誇る作品のため人気テレビ番組『ゲームセンターCX』でも挑戦希望ゲームの上位に挙がっていたソフトだが、長い事挑戦は行われなかった。(*3)しかし2021年、スタッフの尽力により挑戦への採用が実現した。
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ポケットザウルス 十王剣の謎 【ぽけっとざうるす じゅうおうけんのなぞ】 ジャンル アクション 対応機種 ファミリーコンピュータ メディア 2MbitROMカートリッジ 発売元 バンダイ 開発元 トーセ 発売日 1987年2月27日 定価 5,500円 プレイ人数 1人 判定 シリーズファンから不評 ポイント 橋本名人のファミコン名人としての知名度3番手の座を固めさせたアクションをベースにシューティングありクイズあり本家本元の日用品シリーズとはほぼ無関係なゲーム内容 概要 ストーリー 内容 評価点 問題点 総評 余談 概要 1987年2月にバンダイが発売したアクションゲーム。 「ポケットザウルス」とは1985年3月にバンダイが発売した恐竜をコミカルキャラ仕立てにした文房具や食器と言った日用品のシリーズである。 その名を冠しているが最初のステージの敵キャラをはじめとした一部のキャラがそれっぽいデザインになっているのみであまり関係がなく「バンダイ版ファミコン名人」である橋本名人(本名 橋本真司)(*1)が主役になっており、彼がハシモトザウルスとして戦う。 つまりバンダイにしては珍しい実質的にオリジナルモチーフのゲームである。 「ファミリーコンピュータMagazine(ファミマガ)」1986年17号(11月7日号)「少年ゲームクリエイター大募集」と題して、アイデアを募集し小中学生7人が選ばれ、彼らと橋本名人が中心となってストーリーなどを構築していったゲームである。 第1回コンテストでは「ポケットザウルス」が必須テーマであり、本作のタイトルに冠しているのはこのためである。 審査員は橋本名人、「なんたってファミコン」司会者の関根勤氏、ファミマガ編集長の佐瀬伸治氏の3名で、テーマが「ポケットザウルス」と決まったのは次の18号(11月21日号)でのことだった。 ゲームの全貌が発表されたのは1987年1号(1月2日・16日合併号)。 ある意味『ファミマガゲーム大賞』の先駆けとも言えよう。 ストーリー (説明書1~3ページより引用) サラマンダー伝説はるか遠い昔、時を越え全時代を制圧し、我がものにしようとした怪物がいた。その名を「サラマンダー」といい、彼は自らを時空大帝と名のり、あらゆる生物を 恐竜 (ザウルス)化する魔法を持っていた。一度その魔法にかかると「サラマンダー」の死以外に、この魔法を解くことはできないという。ハシモトザウルス誕生2001年の地球。歴史学者であり、優れた科学者でもある名人「ハシモト」は、図書館で古い文献を見つけた。「サラマンダー伝説」と記されたこの文献は途中の数ページがなくなっていた。好奇心の強い名人「ハシモト」が、この恐ろしい怪物の伝説と、そのなくなってしまっている数ページに記されていたであろう内容に興味を持たないはずはなく、あらゆる文献を集め研究をはじめた。そんなある日、名人「ハシモト」が研究の手を止めて広場を散歩していると、あの怪物「サラマンダー」が突如現れ名人「ハシモト」にあの魔法をかけたのだ。しかし、名人「ハシモト」の強い精神力のため、姿は恐竜化したが心は正義として残り「サラマンダー」の支配をまぬがれた。「ハシモト」は「ハシモトザウルス(ポケットザウルス・PZ)」(強い正義感と勇気を持った恐竜)となり、得意のブーメランを持って、タイムカプセル(自作のタイムマシン)に乗り「サラマンダー」を追ったのだった。はたして、名人「ハシモト」こと「ハシモトザウルス」は恐怖の「時空大帝サラマンダー」を倒し、この魔法を解き、もとの姿に戻ることができるのだろうか?「サラマンダー伝説」で欠落してしまった数ページにはいったい何が記されていたのだろうか? 内容 横スクロールのアクションゲームで、主人公ハシモトザウルスはブーメランで戦う。ブーメランは2連射で横方向だけでなく上方向にも撃つことができる。 画面下部が左が体力やスコア、中から右がメッセージウィンドウになっており、キャラの台詞やヒント(アイテム所持時)、クイズなどが表示される。 主人公キャラはライフ制でライフがゼロになる、または穴に落ちてしまうと1ミスとなる。ミス時は残り人数が減ってその場で復活。ライフは後述のアイテムだけでなくスコアを3万点取るごとに回復(この場合は最大値の半分)。 飛んでいる敵キャラの中には倒しても消滅せずに死骸のまま落下するものがあり、そのタイプは落下中にさらに攻撃を加えることで、完全に倒すことができる。これにより後述のボトラノドンを追加出現も狙える。 また、敢えて倒さず、そのまま落下させ地上(水上)にいるワニやサメに落として巻き添えにすると一気に5,000点の高得点。 残り人数がなくなってミスするとゲームオーバー。 そのまま再開もできるが、その前に「対決しますか?」と聞かれ、YESと答えるとダーククリスタルパレス(最終ステージ)でボスのサラマンダーと戦えるが得点アップしか狙えず、いくら頑張っても倒すことはできない(倒したように見えてもスグ復活する)。 水などに入ると泳ぐ格好になり、体力を消耗する。 道中で「タイムカプセル」というマシンが出てくると強制的に搭乗し、乗っている間は強制スクロールとなり、水平3連射の対空弾(カプセルパンチ)と斜め下に投下する単発の対地弾(カプセル爆弾)を発射して戦う。サメにぶつかるとタイムカプセルのみが破壊される。即ミスにはならないが、泳ぐはめになるため、実質ミス確定になる。 特定の場所に触れると、「トツゼンですが クイズの じかんです!」とクイズが始まることがある。 クイズは全てAボタンorBボタンに対応した二択解答で、正解すると最初に提示された得点が入る(1000点・3000点・8000点)。 道中でダイヤ1つ消費して入ることができる秘密の部屋がある。 ここに入ると、特定の5種類のアイテムから3つが表示され、その中から1つを選ぶことができる。 ダイヤ自身が含まれる場合もありその場合「秘密の部屋に入るためダイヤ1つ消費」→「ダイヤを取って1つ増えて結局元のまま」だが、一応1,000点は入るので、完全なムダというわけでもない(メリットも少ないが) この他に隠し通路や、未来都市でのドラクラの喫茶店など隠し要素が豊富。 アイテムが入っているのは「ボトラノドン」というタテ長の恐竜の顔が付いたボトルのようなもの。 ボトラノドンは最初から配置されているものは黒、敵を倒して出てくるのは七色に光っている。 たまに敵キャラ「ドラクラ」が出現する。まず出鼻の一発でダメージは喰らうが一撃で倒せるので倒すことは難しくない。 タイトルで「バリバリボクモード」「パパモード」が選択でき、後者の方は最初のステージ「恐竜島」のみ難易度が落ちたイージーモードになっている。特徴としては… 水やマグマで体力を消耗しない。 ボトラノドンからドラクラが出ない。 ステージ ステージ1・恐竜島(BC100,000,000年) ボス・ブラックザウルス将軍 ステージ2・エジプト(BC2,600年) ボス・ツタンカーム大王 ステージ3・未来都市(AD5,000年) ボス・バグ大王 ステージ4・妖界魔境(AD1,700年) ボス・魔王ベリアル ステージ5・神々の時代(BC10,000年) ボス・グリーンザウルス皇帝 ステージ6・ダーククリスタルパレス ボス・時空大帝サラマンダー ステージ2・3・4は順不同で選ばれる。その3つをクリアすればステージ5へ。 ボスを倒した時、メッセージで次のボス(ステージ)が告げられ、十王剣の1本が落ちてくる。この時暗号の入力に成功すると最終決戦時のヒントがもらえる。 暗号はステージ途中で降ってくる稲妻に当ると突入するコマンダーとのバトルで、コマンダーを撃破すると教えてもらうことができる。暗号は4文字のアルファベットで構成され、コントローラーの各ボタンに対応している。U(Up=十字ボタン上)、D(Down=十字ボタン下)、L(Left=十字ボタン左)、R(Right=十字ボタン右)、A(Aボタン)、B(Bボタン)。 アイテム種類 ボトラノドンから出るもの。 フラッシュ十字キー下+Bで使用し、画面内すべての敵にブーメラン3発分のダメージ。3つまでストックできる(画面左上に表示)。ただし、ボスには無効。 ダイヤ隠し部屋に入ったり、お金代わりになったりする。また後述の通り「1UP」を取るためにも必要。ストック可能でポーズで確認できる。 ヒントマーク「?」これを持っていて、特定のポイントを通過するとヒントメッセージが出現する。ストック可能でポーズで確認できる。 ダブルスコア「×2」約20秒間、取った点数が2倍になる。 ハシモトマーク「H」体力が最大値まで回復する。 それ以外 コンティニューマーク「C」ゲームオーバー後にそのステージから始められる(ない場合最初の「恐竜島」から)。ストック可能でポーズで確認できるが、持てるのは1個だけ。 高速マーク約40秒間、ハシモトザウルスの動きが速くなる。ゲーム中エジプトステージの1箇所にしかないうえ、取るとその先のエリアで被弾しやすくなる、ある意味罠アイテム。 1UPマーク「1UP」特定の場所に配置。その名の通り1人増えるが取るにはダイヤを5つ消費しなければならない(ダイヤが5つないとスカスカすり抜けて取れない)。 スーパーシールド特定の場所に配置。体力が最大値まで回復し、スーパーザウルスに変身する。変身中はブーメランのスピードが倍速化し、3連射が可能になる。体力が残り2コマになると変身が解けてしまう。(*2) 秘密の部屋で手に入るアイテムは、ダイヤ、ヒントマーク、フラッシュ、ダブルスコア、コンティニューマークの5種類。 評価点 アクション自体の操作性は非常に良い。 ジャンプ時の空中制御がしやすく、ボタンレスポンスも良好。 またパワーアップによるブーメランのスピードアップなども、しっかり見た目で感じられる。 難易度のバランスも全体的に良い。 ステージ2の「エジプト」のみ少々度が過ぎた高難度(後述)だが、それ以外は大体、適度に楽しめるバランスで構成されている。 最初のステージの恐竜島で、大まかな要素は網羅されているので、後々迷いにくいバランスというのも秀逸。 コンティニューをするにはアイテムが必要だが、そのアイテムはステージ道中に置かれているので取りのがすことは少ない(*3)。 スコアアタックの要素もバッチリ。 上記の通り追い打ちにより追加点を取ったり、死骸をぶつけて大量点など、当時のメインだったスコアアタックの幅を広げている。 一定のスコアに到達するごとに体力が回復する点から、攻略面においてもスコア稼ぎは重要な要素になっている。 アクションを根本に据えながらも、時としてシューティングになったり、また突然クイズが始まるなど、変化に富んでいる。 いきなり見つかる隠し通路だったり、噴火で雲の上に飛ばされたりと、急激な展開が多いのも見どころ。 更に所々で発生するクイズにしても一息つきながら、違う楽しみ方を挿入してきている。 そのクイズの内容も、現実のものからゲーム内の設定までバリエーションに富んでいる。 未来都市では、特に隠し要素が多い。 1つが、ドラクラのコーヒーショップで、これは直前、タイムカプセルでの激戦の後で体力が不足気味になっている頃でもあるので回復ポイントとしてもありがたい。 もう1つが映画館で、ハシモトザウルスがサラマンダーを倒すシーンがファミコンながらうまく描けている。 最後の1つが、敵の巣窟だが、これは自体はどうということもないほど簡単だが後述のハマリバグが恐ろしいので入らない方が無難。 ラスボスとのバトル。 実際は倒せないので意味はないようだが、ゲームオーバー後に「対決しますか?」と聞いてきて「Yes」と答えるとラストステージを先に見ておくことができる。 根本的には+αの得点を稼ぐだけだが、最終ステージを先に見ておくことで攻略にも役立つ。 またこのステージのBGMも悲壮感漂うもので、本作中でも最も評価の高いBGMになっている。 問題点 ポケットザウルスを冠しているが、ゲーム全体には関係ない。 ステージ1「恐竜島」の敵こそそれっぽいデザインになっているが、後々のステージではほとんど関係ない。せいぜいステージ3の「未来都市」にそれっぽく見えるのが一部出てくる程度。 最終局面の謎解きが難しい。 暗号入力によるヒントが抽象的でかなり謎めいており、わかりにくい。 暗号入力自体もファミコンのボタンに使われているA・Bは当時の低年齢層にも感覚的に解るものだが、U(Up=十字ボタン上)、D(Down=十字ボタン下)、L(Left=十字ボタン左)、R(Right=十字ボタン右)は当時の低年齢層には馴染みが薄く、解り辛いものだった。 しかもこの暗号を解いただけでは「剣をどうにかする」程度しか分からず、結局ラスボスの正規の倒し方を推察するのは非常に難しい。 説明書に掲載されているクロスワードパズルを解くことでより具体的なヒントを得られるのだが、説明書を紛失するとパズルに挑むこと自体が不可能になる。 またゲームオーバー後で対決する時は、十王剣をついつい投げてしまうので、そのクセがついていると本来の使い方をしないまま終わるので、上記のような使い方の発想に至らないことも。 また、最終ステージでは、5色の十王剣が置かれているのだが、実際にボスを倒して入手する時点では、剣は 全部同じ色 なので、最終ステージでいきなり色分けされても、どれがどれなのか、判別できない。 さらに、十王剣を配置する順番は基本決まっていないのだが、最後に入手した十王剣だけは、配置順が最後と決まっている。剣は配置するまで次を取ることもできないため、間違って最後の剣を途中で取ってしまうと、ハマってしまい、1ミスするしか手がなくなってしまう。最後の1機だとゲームオーバー確定。しかも最終ステージでゲームオーバーになると、コンティニューマークがあっても「神々の時代」の最初まで戻されるという、なかなかの鬼畜仕様。 ステージ2「エジプト」が高難度でボス攻略もノーヒント。 ステージ後半部のスフィンクス内では三択の入り口選択が合計で7回もあり、ノーヒントなので初見ではヤマカンで選ばなければならず(正解自体は決まっているので反復プレイで記憶するは可能)、更に7番目の入り口の1つから1番目に戻されるという理不尽なものまで用意されている。 スフィンクス内ではブーメランを当てるのが困難でしつこく自キャラを追跡する敵「スフィンクスの魂」(*4)がランダムに出現する。フラッシュを使わないと安全に対処することは難しい。 一応出現頻度自体は低く、7つの三択ルートをストレートに突破できれば一度も出くわさないままボスの部屋に着けることも普通にある。とはいえそれだけに現れるとビクッとさせられ、その現れ方と上記の通り対処が難しいことで、その不気味さがより際立ってトラウマになった人も… ボスのツタンカーム大王はブーメランが全く通用せず、落ちてくる赤い栓を拾ってボスの口に入れて詰まらせるという方法で倒さなければならず、これに関してはノーヒント。3兄弟という設定で3体同時に相手することになり、不規則に漂う弾(毒ガス)を吐く上、栓を持った状態で当たると栓を落としてしまう。挙句の果てには時間制限つきでボスのセリフが終わると強制的に1ミスになる。 これが最終面や準最終面という後半ならまだしも、ステージ1の次にいきなり来る可能性がある。 「3兄弟」のくせに全員オネエ言葉で喋っているのも謎。 一発で倒せてしまうメカブロントス。 3ステージ「未来都市」で登場する味方キャラ(一応)で、道中の海(長い水域)で登場し、ダイヤ2つ渡すと頭に乗せてくれて、安全に渡ることができる。 因みに、持っていないと泳いで渡るしかなく、ライフが最大からでも向こう岸に行き着いた時には2コマになってしまう(つまり変身状態を保てない)。 これだけならさして問題でもないが、問題なのは、このメカブロントス自身にも攻撃が効いてしまい、しかもブーメラン1発またはうっかりフラッシュを使っただけでキレイサッパリ消せてしまう(おまけに0点)。これがダイヤを渡した後でも攻撃が効いてしまうので、うっかり誤操作でブーメランを投げただけで意図せず倒してしまってダイヤ2つがパー、なんてこともままある。倒す必要がないので、もっと耐久力があっても良かったのではないだろうか? 「未来都市」で、タイムカプセルエリアが終わった次のエリア。カプセルから降りると同時にドラクラが1匹特攻してくる。タイミング的にかわすことも倒すことも不可能のため、降りると同時に100%ダメージを受けるはめになる。ライフが十分ならたいした問題ではないのだが、残り1だったりすると確実に1ミスになる。ギリギリでも対処可能ならまだしも、どうしようもなく強制的にダメージというのは、無意味でしかなく、酷い仕様。 ヒントなどのメッセージが表示されている時にポーズをすると、メッセージが消えてしまう。特にコマンダー撃破後の暗号が表示される時は注意が必要。 完全ハマリのバグがある。 4ステージ、「妖界魔境」の中盤、雪の積もった長屋のエリアにある隠し通路(*5)に入り、右に進んで画面が切り替わる時にジャンプをしながら抜けると画面がバグって進行不能になる。 ジャンプをせずに歩いて画面を切り替えれば回避は可能。またクリアに必須ではないのでスルーしても問題はない。 3ステージ、「未来都市」でドラクラ数体が襲ってくる隠し部屋に入ると、本来なら全滅させてしばらくすると戻るはずだが、永遠に戻らなくなることが多々ある。 救われない結末。 サラマンダーを倒すと、その呪いが解けポケットザウルスに変えられた橋本名人も元に戻るが、救い出した女の子が実はコマンダーが化けたもので急に正体を現し、再び呪いの魔法をかけられポケットザウルスに変えられてふりだしに戻る。つまりクリアーした果てに待つのは、バッドエンドでしかない。 つまりシステム自体はファミコン初期の頃よくあった、「クリアしたら最初に戻ってエンドレスなスタイルでハイスコアを突き詰めていくゲーム」だが、やっぱり腑に落ちない結末である。 総評 ゲームそのものは最初のステージがチュートリアルになるほどで、更にそのステージにイージーモードまであるなど初プレイでも取っつきやすい。 主軸のアクションだけにとどまらずタイムカプセルによるシューティングに移行したり、突然始まるクイズをはじめとしたイベントも盛り込まれゲームとしてのシステムの出来は良い方と言えるだろう。 その一方で、エジプトステージの理不尽な罠要素などラストでもないのに急激に高いアンバランスな難易度や無限ループプレイのシステムとシナリオの整合性を取るためのバッドエンド設定は少々残念な部分ではある。 またモチーフであるポケットザウルスに関しては半ばどうでもいいような扱いでしかなく、あまり意味のないものになっているので日用品シリーズの愛好者がそれとタイアップしたものに期待したとしたらガッカリに感じるかも。 余談 ステージ開始時のタイムトラベル演出で画面がカラフルに激しく点滅する演出がある。『トランスフォーマー コンボイの謎』のように高画質・高輝度なディスプレイ環境でこれからプレイする人は要注意。 ステージ2の秘密の部屋は、並べられた3つのアイテムの間隔が狭いので、間を狙ってジャンプすれば2つのアイテムが取れる。 恐らく配置ミスと思われる。 神々の時代のボス「グリーンザウルス皇帝」は、説明書や攻略本では「ブーメランでは倒せない強敵」と書かれ、燭台から飛び出す月桂冠を取って投げつけるのが正攻法なのだが、実はブーメランでも倒せてしまう。ただし、かなりの数を撃ち込まなければならない。 パワーアップしたスーパーザウルスは橋本名人自身がデザインしたもので、まだ募集中だった1986年18号の時点で公開されており、既にゲーム実装時の完成形が出来上がっていた。 この時はまるで『聖闘士星矢』のクロスのような部分部分のパーツに分かれている要素を持っていた。 また、この時点ではビームサーベルのようなものやビームガンを持っていたが、これらはボツになったと思われる。 説明書のクロスワードに関しては、上記の企画によるファミマガ読者によるアイデアであり、これには審査員もビックリだったとのこと。 実在の人物が絡んでいるためか、移植や配信などは一切行われていないので、ファミコンカセットの形でしか入手できない。 ただし、当時かなり売れていたため、入手は容易。しかし、上記の通り謎解きに必要な説明書付きとなると、少々難しくなる。 橋本名人自身は1991年にバンダイを退社して、紆余曲折を経て最終的にスクウェアに移籍している。 この当時はメガネをかけていたが、元々視力自体は悪くなかったため伊達メガネで、それは「バンダイの橋本名人」としてのものということで、バンダイ退社後は一切かけていない。 因みに、作中の舞台である2001年では、橋本名人は43歳ということになる。科学者や歴史学者という設定も納得(実際そうはならなかったが)。 1987年1号で全貌が明かされた頃、ゲームの主人公は「橋本名人Jr.」で息子ではなく、孫であるとのこと。 この設定がゲーム本編で残っているか否かはさだかではないが、2001年当時の橋本名人は43歳なので科学者の孫というのは無理がある(*6)。 「少年ゲームクリエイター大募集」は第2回として1986年19号(12月5日)から募集され、この時は特に課題はなく完全フリーだった。 応募は4万5千と殺到し本来ならば1987年2号(1月30日号)で発表するはずが結果的に3号も遅れた5号(3月20日号)での発表となった。 大量の応募作品には当時のブームが如実に現れ、ゼルダやドラクエ風な剣と魔法で戦うファンタジーRPGばかりに偏ったようで「もっと画期的なアイデアが欲しかった」「残念ながら少々レベルが低かった」と芳しくない総評だった。 佳作入選対象も本来は50名の予定だったが実際の表彰では38名に減らされた点からして、その残念度合いが如実に出ていたようだ。そのためか、入選作の表彰こそ行われたが実際の製品化にはつながらず、事実上すべてがボツとなった。 また、発表されたページの挿絵には、そんな入選に至らなかったアイデアをイメージしたイラストがあり、鎧と盾を装備した橋本名人の後ろに剣がズラズラ並んで「RPゲームばかりでちょっと個性が弱かったみたいだ。もう剣がたくさん出てきちゃってたいへん!」と嫌味まがいなものだった。気持ちはわからなくもないが、こういった年少層に向けた企画はその時のブームが出やすいのは仕方ないだろうし、もうちょっとオブラートに包んだ表現にしたらどうだろうか?と思わずにはいられない。 徳間書店から発行されていた漫画雑誌「わんぱっくコミック」に本作の漫画版が連載されていた。 「必勝テクニック完ペキ版」シリーズの25番目として単行本も発売された。 「わんぱっくコミック・リバイバル」として2021年に電子書籍化されたが、現在は配信終了。 「ファミコン名人」といえば前年『スターソルジャー』の対決映画にもなった、高橋名人、毛利名人(*7)両名が特に有名だが橋本名人は活躍期に入るのが早かったことと本作のように自身を主役にしたゲームが発売されたこともあり先述の二人に次ぐ三番目の知名度を誇っている。 そのためか漫画「ファミコン風雲児VSファミ拳リュウ」の「ファミコンオリンピック」のエピソードで、そのままの橋本名人として出演していた(*8)。 ただし作中でプレイしていたのはバンダイのタイトルではなくスクウェアの『キングスナイト』だったりする。彼自身後々スクウェアに移籍したことを考えると現在からすれば運命的なものを感じる。
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/4551.html
キングダム ハーツ 3D [ドリーム ドロップ ディスタンス] 【きんぐだむ はーつ どりーむ どろっぷ でぃすたんす】 ジャンル アクションRPG 対応機種 ニンテンドー3DS 発売・開発元 スクウェア・エニックス 発売日 2012年3月29日 定価 通常版 6,090円3DS同梱版 21,090円10th Anniversary Box 15,000円(全て税別) プレイ人数 1~2人 セーブデータ 2個 レーティング CERO A(全年齢対象) 判定 良作 ポイント キングダム ハーツシリーズ第7作目新要素は概ね高評価ただしドロップシステムは賛否両論 キングダム ハーツシリーズ 概要 内容 特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 その後の展開 ストーリー 闇は光となり、光は闇に堕ちる。マスター・ゼアノートは、天才的なキーブレードマスターであった。その姿を幾度も変えさせて光を守護するキーブレード使いたちの前に立ちはだかった。だが、まだ終っていない――我々には、脅威に立ち向かう準備が必要だ。そこでソラとリク、二人にはキーブレードマスター承認試験を受けてもらいたい。眠りの鍵穴を開くことで、新たな力を身につけるとともに、眠りに閉ざされた世界の開放にもなるだろう。純粋な光の数と等しく、7つの眠りの鍵穴を開放し、再びこの地に戻ってくることで、マスター承認とする。(取扱説明書より) 『KHIII』へと直接つながる、最終決戦への序章となるストーリーが展開される。 概要 キングダム ハーツ第7作目。開発は『キングダム ハーツ バース バイ スリープ(以下BbS)』のチーム(いわゆる「大阪チーム」)がメインで担当。 初代~『II』を手掛けたスタッフ(*1)が『ファイナルファンタジーXV』の開発に忙しく、代役として抜擢された。 また、シリーズ10周年記念としてパッケージにはアニバーサリーロゴが入っている。 内容 本作の主人公はお馴染み「ソラ」だけでなく、過去作でソラの親友・ライバルとしての立ち位置を担ってきたキャラクター「リク」がシリーズで初めて本編の主人公となった。(*2) この二人はモードとしては独立しておらず、W主人公として二人のキャラクターを入れ替えながらストーリーを進めていく事になる。 『トロン:レガシー』『ノートルダムの鐘』『ミッキー・ドナルド・グーフィーの三銃士』『ファンタジア』が新たなディズニー作品のワールドとして登場した。 『すばらしきこのせかい』のキャラクターもゲストで登場する。(*3)が、本作ではモーグリ以外のFFキャラは登場しない 本作では夢を喰らう「ドリームイーター」が重要な役割を果たす。善良なものをスピリット、邪悪なものはナイトメアと呼び区別しており、特にナイトメアは、従来シリーズのハートレスに代わる敵となっている。 同じドリームイーターでもスピリットかナイトメアかで色彩がガラッと変わる。また、片方側しか存在しないものもある。 ちなみに初回購入特典のARカードを使えば、本編で入手が困難な特別なドリームイーター(計3種)を呼び出せる。 特徴 戦闘システム:デッキコマンド 『BbS』や『キングダム ハーツ Re コーデッド』(以下Re coded)で使われたものと同じ。詳しくは両記事を参照。 本作のみの特徴として、コマンドの成長要素は廃された。このため、コマンド同士の掛け合わせなども無くなっており、レアな物については後述のスピリットのリンクアビリティになっている。 フリーフローアクション 壁やポールにYボタンを使ったアクションで突っ込むと、操作キャラが光に包まれ、フリーフローアクションに移行する。 ここでAボタンを押すと、状況に応じて強力なフィニッシュを放つ。 Bボタンを押せば、更に高く、遠くにジャンプすることが出来る。使いこなせば一見行けそうに無い場所にも楽々と飛び移ることができる。 更にYボタンを押せば、そこから高速で移動する。大きい敵に突っ込めばブロウオフというアクションで敵を吹き飛ばすことができる。 ちなみにこれらフリーフローアクションは全てアビリティ扱いであり、ゲーム開始時点で全て所持。一部を除いて強制ではないので外す事も可能。 リアリティシフト 特定のオブジェクトに近づいたり、攻撃中に特定条件を満たすとそのオブジェクト・敵にピンク色のマーカーが出る。 下にスライドするか、X+Aでリアリティシフトが発動できる。ワールドによってギミックは異なり、各ワールドの世界観に合ったものとなっている。 攻撃の威力としても優秀であり、チャンスがあれば積極的に狙うことで敵を一掃できる。 ボスへのとどめに使われたりと演出面でも十分に働きを見せている。 ストーリー・ワールド 下記の「賛否両論点」に書かれているような複雑な点ばかりが取り沙汰されがちだが、過去作にないほどにシリアス・コメディが入り混じった完成度の高いストーリーである。 本作のシナリオはソラとリクとの間の「友情」が最前面に押し出されており、特にリクに関しては本作で評価が良い方向に激変したというファンの声も多く聞かれる。 ディズニーのワールドも原作の雰囲気を再現し、かつソラとリクで別の視点からストーリーを楽しめるようになっており完成度は高い。また、前述の「リアリティシフト」の存在も各ワールドの印象をより強いものとしている。それ故にディズニー由来のボスキャラが少ないのは残念なところ。 KH2以来久しぶりの実写映画を元とするワールド「ザ・グリッド」(『トロン:レガシー』)のキャラクターは、KH2の『トロン』から約6年間の劇的な技術の進化を体感できる凄まじくリアルなグラフィックとなっている。 『キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ』(以下CoM)では設定上、リク編では各ワールドのキャラとの交流が皆無だったが、今回はしっかり絡む。良くも悪くも天真爛漫なソラとは違って理知的に関わり、しかしその中でも熱さと正義感を以て行動するリクの姿は新鮮且つ、彼の印象を良い方向に押し上げている。 本作のマップはフリーフローアクションで飛び回る都合上極めて広く立体的で非常に複雑になっており、久しぶりに探索的要素が強くなっている。 マップ全域+高度限界までほぼ自由に探索できる為、広域かつ高低様々な場所に宝箱が配置されている。場所によってはざっと回っただけでは発見できないものもあり、コンプを狙うとかなり骨が折れる。 音楽 『BbS』の3人体制(下村、関戸、石元)で作曲。 『すばらしきこのせかい』の人気曲もアレンジされて登場。アレンジの甲斐もあってか世界観からもそこまで浮いていない。 ボス戦の曲の評価は高い。「L Impeto Oscuro」や「UNTAMABLE」などが人気曲として挙げられる。 また、『ファンタジア』のワールドでは無声映画であった原作に合わせ、探索中は「ソラたちの声が出ない」「効果音が楽器の音」という演出がされている(ムービーは普通通り)。 そこで流れるBGMは原作でも使われたクラシック音楽であり、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」やベートーヴェンの「田園」といった有名曲が惜しみなく収録されている。 BGMもリアリティシフトの演出を考慮しながらうまく編曲されている。 凝った演出なのだが、発売当初はバグ騒動のせいでこれもバグだと思ってしまうユーザーもいた(*4)。 新たな仲間・「スピリット」 本作に登場するモンスター的な存在「ドリームイーター」の中で、主人公らに付き添い、戦闘の手助けをする存在を指す。 『キングダム ハーツ 358/2 Days』(以下Days)や『BbS』、『Re coded』でも一部で復活していたが、全編を通した本格的なパーティ戦闘は実に『KHII』以来となる。 戦闘面 ステータスを上げるアビリティはスピリットを連れて行くことによって効果を出す。 敵の特徴によってスピリットを入れ替えたりと、戦略性のある要素でもある。 パーティに加わっているスピリットとのリンクゲージが満タンになると、そのスピリットとの連携攻撃(リンク攻撃)ができる。 ソラのリンク攻撃は『I』や『II』の「しょうかん」や「れんけい」をイメージしたもので、一方リクのリンク攻撃は『BbS』のスタイルチェンジをイメージしたものとなっている。 なお、スピリットは体力が無くなって戦闘不能になると、30秒のカウントダウンが始まる。この時、近づいてAボタンを連打する事でゲージを溜めて蘇生させることができるが、カウントが0になってしまうと、そのスピリットは永久に失われる。 本作のスピリットは過去作のパーティ戦闘の仲間と比較しても非常に心強い存在。全体的にレベルが上がりやすく、早い内からパーティーに入れていると、ソラやリクよりもレベルが高くなる事がある。 仕事に粗はあるが、攻撃力が初代のドナルド・グーフィー並みに戻っており、雑魚敵くらいなら放っておいても倒してくれたりする。もちろん魔法や特技などでのサポートなども行ってくれる。回復などももちろんだが、特筆すべきは「スピリットロア」。短時間ながらソラ・リクの攻撃力・魔法力を1.5倍にするという強烈な効果を発揮してくれる。 なお、ネタバレとなるので詳細は伏せるが、ソラとリクでリンクの仕様が違うのはストーリー上必然の設定だったりする。 育成面 敵を倒すことで手に入る「~の幻想」等の素材(「ドリームピース」と呼ばれる)を一定数集めることで、スピリットを自由に生み出す(「ブリード」する)ことができる。 リンクポイントを貯めれば「アビリティリンク」でスピリットが持っているアビリティやコマンドを開放できる。 インターフェース的には『ファイナルファンタジーXIII』のクリスタリウムに類似している。 スピリットたちとのふれあい要素も充実。 様々なおもちゃで遊んだり、食べ物をあげたりできる。他にも突っついたり撫でたりしたり、カメラを使って写真撮影することも可能。 これらは完全にお遊び、という事ではなくこれによって経験値やリンクポイントを効率よく稼げたり、「相性レベル」や「性格」の変化をもたらす。 「相性レベル」を上げることによって戦闘中の行動がより賢くなったり、「性格」を変化させることによって戦闘中の行動自体が大きく変化したりとゲーム攻略に直結する要素は多く、戦闘に疲れた武闘派にもスピリットを可愛がりながら進めたい育成派にも満足の仕様。 初期スピリット「ワンダニャン」や「コウモリバット」を筆頭に、可愛らしいだけでなくどこか妙な魅力を感じるデザインが好評。 名前は自由に付けられる。本作のドリームイーターのネーミングがいろいろと直球なのはそのためなのだろうか。 フリックラッシュ 育てたスピリットを3vs3で戦わせるモード。『CoM』のカードデッキにシステムがよく似ている。 カードには数字が振り分けられており、カードの数字が大きいほうが弱いほうの行動をブレイクできる。数字は0(*5)が無くなった代わりに完全最強の☆が登場した。 カードを上にスライドすることで攻撃、下にスライドすることで防御ができる。防御が成功すればそのスピリットの必殺技ともいえるカードが手札に追加される。 相手方のスピリットもなかなかの強敵揃いであり、簡単に活路を見出すことはできない。 ちなみにここでは様々なFF、すばせかキャラが名前だけとはいえ参戦している。 リンクポータル すれちがい通信で他のプレイヤーにドリームイーターを送受信し、マップ上で特殊なバトルを発生させたり逆に一時的に仲間として戦闘に参加させたりすることができるようになる。 NPCのリンクポータルもマップ上に配置されている。またレアな素材を入手できるスペシャルポータル、クリア後に強化版ボスと再戦できるシークレットポータルというものも存在。 評価点 縦横無尽のアクション フリーフローアクションによって、高速移動もハイジャンプもお手のもの。シリーズ他作品とは一線を画した爽快感が得られる。 壁やオブジェクトに突っ込むだけで発動するので、難しい操作も要求されない。 攻撃力もあるので、アクションに不慣れな人でもこれを使えばそれなりに見栄えもよく、安定して戦える。 本作のマップはかなり広めに作られており、宝箱なども複雑な配置をされているが、移動手段がこのように強力であるため探索の楽しみもある。 狭い路地なら壁を次々と蹴って高速移動することができたりと、爽快感は満点。 スピリットを育成し共闘する楽しみ スピリットも単なる仲間に留まらず、「強化する事で自分自身も強くなる」事や、フリックラッシュによるミニゲームなど、様々な要素を上手く一つにまとめて組み込む事に成功している。 種類も多く、どのスピリットも一定の強さがあるので、お気に入りのスピリットと最後まで戦うこともできる。 「II」のリアクションコマンドで見られたような、外連味溢れる爽快なアクションが(バリエーションは限られるものの)任意で出せる爽快感はかなりの物。 戦うだけでなく、純粋にスピリットを愛でるモードも用意されていたりと、遊びの幅は広くなっている。 ただし、どちらの要素も非常に出来がいい一方、流石に調整不足・詰め込み過ぎな部分があり、賛否両論とは別に問題点となる部分も存在している。詳しくは後述。 相変わらずきめの細かい演出 上述の通り、諸々の問題で空回りしてしまった点もあったが、演出としての細かさは流石。本作では、ソラとリクの二人で、同じワールドの違う場所を探索するが、シリーズで登場した事のあるワールドを探索する際は、ソラはこれまで行けなかった箇所を探索し、リクはこれまでに登場した場所を探索するようになっている。 こちらも上述されているが、今作のストーリーの主軸は「ソラとリクの友情」。この点は十分に描き切られており、特にシリーズファンから高い評価を得た。 ワールド単体で見て行っても、「三銃士」のワールドは初代の頃を思わせる、ディズニーテイスト満載のコミカルな演出が目を引く。近作ではとかくシリアスな展開に終始する事が多かっただけに、シリーズファンなら全く新しいワールドにも拘らず、どこか懐かしさも感じる事ができる。 見事な出来のOP 本作のオープニングムービーはファンなら必見。最終決戦へ向け、歴代主人公たちが一堂に会する感動的なもの。むしろ何故これがKHIIIのOPでないのかという程。 今までの作品の名シーンが非常にうまく編成されている。つなぎ目も全く違和感がなく、素晴らしい出来。発売記念イベントで先行上映された際も反響はかなりのものだった。 本作の数多い見所の中でも「OPが一番盛り上がった」とまで言われるほど。なお、シリーズで初めてオーケストラ版の「光」がOPムービーに採用されている(これまでは歌付きのバージョンが使われていた)。 ではEDテーマもいつも通りの「光」…ではなく、『Days』以来となる「Passion」(*6)が久しぶりに使用されている。OP、EDでそれぞれ別の楽曲を、そして「光」と「Passion」の両方を使用しているのは何気にシリーズ初。 工夫されたストーリーの展開と説明 「メモワール」によって、過去作やワールド(原作)におけるシナリオ、用語がしっかりフォローされている。 新規プレイヤーへの配慮が見えるシステムなのだがこの点に関してはあまり広告を打たれなかった。 また、同じくメモワールには「回想シーン」というものが登録される。これは本作のストーリーの背景を見ることができるというシステム。シナリオを進めていく途中で自動的にムービーが登録され、その都度見ることができるが、見ないで後回しにすることもできる。 本作全体の背景の説明もメモワールで小分けにすることで、開幕早々延々と説明が続くことのないよう配慮がなされている。とにかく先に進めたいという人はムービーをスキップするまでもなく飛ばす事が可能で、逆にしっかりとストーリーを追いたいという人は、従来通り進行に合わせて追っていける。 歯応えのあるバトル ボスはソラ編、リク編で行動パターンが全く異なるような敵が用意されており、過去作よりも充実している。使い回しのようなものも存在していない。 ストーリーにおけるボス戦の難易度の高さはシリーズでも屈指。特にリク編終盤のボスラッシュはシリーズでも一二を争う難所。 ボス敵全般の強さはもちろん、雑魚の中にも難敵が多い。プレイヤーにもよるが、スタンダードでも歯ごたえ十分で、総合的に見てシリーズトップクラスの難易度であると言える。勿論、これまで同様自分の腕に見合った難易度調整も可能(最高難易度のクリティカルのみ2周目以降限定)。 クリア後は各ステージのボスと再戦が可能。しかしリク編のボスラッシュの敵は対象外。大ボスクラスかつ、それぞれが一個体としても非常に難敵なため、少々残念なところ。 なお、この時は後述の「ドロップ」をする事は無い。腰を据えてじっくりと強敵と戦うことができる。 ちなみに作品全体を通しての高難易度の救済措置としてか、今作は過去作と比べても明らかにレベルが上がりやすい。レベルアップによる必要経験値の増加の度合いがかなり緩やかになっているため、1つ手前のワールドに戻った程度ではほとんどレベルアップの速度が低下しない。詰みかけた場合にはスピリット育成も兼ねて素直にレベル上げすることもできる。 後述されているが今作ではレベルアップでアビリティを覚えることはないものの、少なくとも基礎ステータスはちゃんと成長するので、レベル上げで多少なりとも楽になる調整にはなっている。 賛否両論点 ドロップシステム 本作最大の賛否両論点。ドロップゲージと呼ばれるゲージが無くなると、強制的にキャラが移り変わるというシステム。正確には、ゲージが無くなると30秒間ボーナスタイムができ、その後の策を練ることができる。 ボーナスタイム中はドロッププライズが出やすくなる。ここで効率よくドロップポイントを稼ぐことも可能。 ドロップポイントを戦闘中集めておけばドロップの際に相手側の能力を大きく強化できるというメリットもあり、上手く活用すればLV1プレイなどの縛りプレイもある程度楽になる。 しかし、ボス戦でも容赦なくドロップしてしまう上、戦闘そのものは仕切り直しにも拘らず、自分のダメージだけは引き継ぐ。これが最大の批判点である。 「デッキにモーニングベル(*7)を仕込む」「ボス戦前に一度ドロップしておく」といった対策はできるが、根本的な解決にはならない。 ただし、このドロップシステム自体は本作のストーリーに深く関わっており、これ無しでは成り立たない程重要なシステムである事は明記しておく。 また、当システムによって意図せずともソラ編とリク編の進捗を合わせられるため、ダブル主人公制のゲームとしては上手く交互にストーリーを進めることが出来る。 一般的なダブル主人公制のゲームだと、「一周目と二周目でそれぞれの主人公のストーリーを進める」「特定のストーリーまで進めると主人公が交代する」という仕様が多いが、両主人公並行して物語を進められる点では画期的システムとも言える。 難解なストーリー 主に黒幕であるゼアノート関連(*8)や「夢の世界」との行き来などは設定が複雑で分かりにくい。更にそこへタイムスリップ的な要素も絡んでいる為、ますます物語を複雑にしている。 本作のシナリオが複雑なのはKHシリーズの根幹である「心」そのものに踏み込んだ内容であるという面が強い。 また、次回作に向けての新たな設定も登場しており、これまでの流れを理解するシリーズファンはまだしも、新規層にはかなりとっつき辛い所まで来てしまっている。 良くも悪くも野村氏の本領をいかんなく発揮した入り組んだ設定が広がっており、あまりに難解なためかディズニー側にさえ一回の説明で理解してもらえなかったという逸話もある。 インタビューで野村ディレクターが答えるという形でストーリーの解説もされている。ただ、解決されていない疑問点もある。 さらに本作から登場したタイムスリップ要素がプレイヤーの混乱を招いた。この要素は本作の本筋にはまだ絡まず、「倒したはずのあのキャラがなぜ登場するのか?」という疑問に対する回答だと思っておけば本作単体の理解には十分。しかし、本編では本作内のネタばらし以上の時間をとって時間移動の設定とその制約について長々と語ってくれるためプレイヤー側もそちらに思考を割いてしまいがちで本編の理解がおろそかになってしまう。 時間移動という要素そのものが非常に強力で何でもありとなってしまいかねないので、制約そのものは必要であるし、それが次回作に持ち越されず早めに明かされたのはむしろ良い点と言えるのだが……。 ただし難解ではあるが、伏線はところどころに張られており「複雑な伏線がつながったときの快感」を意識しているとのこと。 実際、かなり大胆な伏線の張り方をしており、それをネタばらしで気づけたときには「やられた!」と思うこと請け合いである。 また、NEW GAME開始直後にろくに舞台説明もないままいきなりチュートリアルに入ってしまうのだが、これは野村ディレクターの意図によるもので、最初はソラたちと同じように「何が何だか分からない」状態からのスタートにしたかったということらしい。 上記の通り、ストーリーはかなり「過去作をプレイした人向け」の内容である。初っ端から完全にこれまでの設定・ストーリーありきでスタートしており、固有名などもポンポン出てくるため、最初の辺りなどは特に新規ユーザーには理解しがたい。 しかし、重要な用語や過去作のあらすじはメモワールで解説が用意されており、目を通していれば初見でも100%は無理でもある程度の理解はできるようになっている。とりあえず良く分からない単語が出てきたらメモワールかレポートを開けば大抵書いてある。 なお、「過去作をプレイした人向け」の内容であるというのはこれまでのシリーズにおいてもほぼ同様であり、そもそも今作特有の問題点ではない(最も顕著なのは『KH2』)。これまではイベントムービーなどで解説していたものを別モードを用意して任意にチェックできるようになったということであり、これもある種のムービーゲーとしての問題点の解消手段ともとれる(アルティマニアで野村ディレクターもこの旨を明言している)。また、新規キーワードやあらすじを入手した時にはちゃんと画面に表示される。 問題点 新規ワールドに対する説明不足 各々が独立した世界観・設定を持つディズニーワールドだが、一部のワールドでは初めて訪れた際も「クルー」「ジプシー」など、そのワールド特有の固有名詞がロクに解説もされずシナリオが進んでいく。 評価点にて述べられている通り、「メモワール」のおかげでストーリーを追うという意味では苦労しないのだが、世界観や設定を理解するまでには至らない。 シナリオを進めれば理解できるようにはなっているが、単語だけで意味を推測することも難しく、初見の作品では混乱を招いてしまう。 これまでのシリーズでは、作品の冒頭部分なども描写する事で、これら説明不足を補っていたが、本作では、いきなり作品の盛り上げ部分から始まる事が多いのが理由か。 敵の硬さ コマンド攻撃やガードなどのリアクションをしても敵がほとんど隙を見せない。特にボス戦で顕著。 強力な一撃を加え、そのまま巨体に見合わぬ高速移動で距離を離して様子を窺うような行動を取るボスが多く、「敵のほうがヒット アウェイを成立させている」という皮肉めいた指摘もある程。 過去作ではガードや回避から反撃の起点を生み出すものがほとんどであり、逆に言えば、ハッキリとした反撃の起点を自らが生み出せていた。 ボス戦は全体的に攻撃のメリハリがなく、はっきり言えばダラダラと攻撃してくる為、パターンが非常に掴みにくい。分かりやすい反撃チャンスは終盤に行くほど減り、結局は攻撃の合間に1、2発当ててチマチマと反撃し、回復魔法ゴリ押しで突破という形になりやすい。 フリーフローシステムは各ボス戦でもほぼ必須となっている。しかし、『II』のリアクションコマンドの様に、それを起点に反撃へ移るには至らず、あくまで攻撃・移動手段の一つに落ち着いている為、折角の爽快感を生かし切れていない。 雑魚戦も同様で、全体的によろけを取りにくく、こちらの攻撃中に割り込まれる形で反撃を食らう事もしばしばある。 終盤の相手の中には「丸まってバウンドする攻撃をするが、この攻撃中は完全無敵状態」「当たり判定も含めて完全に姿を消し、突然ほぼゼロ距離に現れて攻撃、再び姿を消す」「頭部(オプション)と胴体(本体)が完全に分離し、胴体がよろけている間も頭部は自由に行動・攻撃する」など、少々無理のある形で難易度を上げている雑魚敵も存在する。 総じて、瞬間瞬間の爽快感はあるが、プレイヤーが一方的に攻撃し続ける事を許さない様に作られている印象が強い。爽快感を追求し過ぎた結果が、ライト向けに作られた「II」である為、シリーズの反省を踏まえた難易度調整ともいえるが、折角の新システムや煮詰められた戦闘バランスと調和できていないのも確かである。 「ひるみ」に関わる隠しパラメータとして各種技には「リアクション値」というステータスが設定されており、この数値が大きいほどひるみを取りやすくなる。通常攻撃である「たたかう」のうちもっとも基本的な技のリアクション値がゼロであるため、基本的に至近距離で普通に「たたかう」をした場合はひるみを取ることが出来ない(遠距離での突きからなら取れる)。 つまりこの雑魚のひるみにくさは調整不足などではなく意図的なものなのである。単なる設計ミスならまだしも、これで良しとしているのだからなおのことタチが悪い。 リアクション値が極端に低いのは通常攻撃のみであり、他のリンク攻撃や各種コマンド技は高い数値が設定されているものがほとんどである。つまりこれらの要素を使わせるための意図的な調整か。過去作で散々揶揄されてきた「連打ゲー」という風評からの脱却を狙ったものと思われる。 なお、PS4版では、雑魚敵がかなりひるみやすくなっている(*9)。しかし、大型のドリームイーターやボスタイプのものは変わっておらず、解決には至っていない。 それ以外にも、足が速いうえにフラフラ走り回って(飛び回って)どこかへ行ってしまうような行動ルーチンのものが多いなど、テンポが削がれやすい要素がちらほらと存在する。 通常のエンカウント時なら無視して良いが、敵の殲滅が必須な場面ではどうしても追跡する必要があるため面倒。今作はフリーフローを意識してか、かなり高めの段差が多く用意されており、落ちてしまったりすると更に面倒。 バトル関連の細かい操作性 操作性も完璧とは言えない。この点は携帯機作品かつ類似のシステムを持つ『BbS』『Re coded』とよく比較される。 コマンドデッキの操作が非常にやりにくい。BbSの操作方法に慣れ親しんだ人なら尚更そう感じる。 デッキ送りを十字ボタンで行うことには変わりないが、BbSはPSPの作品であり、方向キーは上部にあった。しかし、3DSの十字ボタンは下に付いているため、指の配置を考えるとどうしてもデッキを下に送ることが難しくなってしまう。 同様にデッキコマンドシステムを採用した『Re coded』では、Lボタンを使うことでデッキを操作できたため、これを採用してほしかったという声も多い。 また、『Re coded』では前述のLボタンのデッキ送りや、視点の変更、キャンプメニュー内でのアイテム使用など便利な要素もあり、どうして本作でも採用してくれなかったのかと不満を漏らすファンもいる。 なお『Re coded』とは開発元が別であった事や本作と開発期間が一時的に重なっていた為ノウハウをそのまま流用できなかったのかもしれない。 この他、エアリカバリー(*10)系の入力受付が遅く、リカバリーする前に着地したり(*11)、連続ヒットさせられる事が多い、 リクの地上コンボフィニッシュの発生が異様に遅く、相手によっては途中で抜けられる等、いまいち調整しきれていない部分も散見される。 フリーフローアクションが暴発しやすい ドッジロールやエアスライドなどで敵の攻撃を回避しているときに壁に当たってしまうとプレイヤーが意図せずともフリーフローアクションに移行してしまう。 上記の通りフリーフローアクションは外すことも可能なのだが、ウォールキックとスーパージャンプとスーパースライドはアクションコマンドに存在せず外すことができない。 ウォールキックはスーパーアーマーが付加されるとはいえ硬直が長く、高難易度だと一撃が致命傷になることもあるのでこの暴発のせいで泣きを見ることも多々ある。 スピリットの問題点 「スピリット」の行動パターンを決める「性格」についてゲーム中でほとんど説明が無いため、具体的にどの性格で何をしてくれるのか良く分からない。 「かしこい」「ゆうもう」等なんとなく想像がつくようになっている性格名も多いが、一方で「ノラ」「バジリスク」「レーサー」等やっぱり良く分からないものも多い。 性格の違いで立ち回りも大きく変わり、性格によって解放されるリンクアビリティもある為、難易度高めの今作では結構重要な問題である。 性格によって目の色も3色にかわるため、目の色を見てある程度判断することもできる。 ソラ、リクの強化のためにスピリット選択の幅は狭まることがある 上述のスピリットの特徴に記載の通り、スピリット達との触れ合い(によるリンクアビリティ)を通じて、自分達の基礎能力を強化する事ができる。しかし、本作におけるアビリティの取得は、このリンクアビリティにほぼ全面的に依存している為、レベルアップによる能力強化は限定的。 「コンボプラス(*12)」の様なメリット・デメリットあるものはもちろん、「リーフベール(*13)」や後述の「ラストリーヴ(*14)」もこれに該当する。なおかつ、これらアビリティはスピリットで共通の物ではなく、取得できるスピリットが決まっており、しかも育成の最終盤にようやく取得できる。アクションアビリティ以外はソラとリクで共有できるのが救い。 有用なアビリティはある程度育てないと手に入らない事から、目的のアビリティ取得まで同じスピリットを連れ歩かざるを得ない。 多数のバグ 実質1年ほどの短期間制作のためかバグが多い。後に修正パッチが配信されるが、初期バージョンでは進行不能バグなど結構重大なバグが多かった。公式HPにもいくつか載っている為チェックしておくと良いだろう。 現在でも全ては修正されておらず、特定条件を満たしてしまうとリクの最大HPが低くなるバグなどいくつかは残っている。 ここまでに記載されている通り、あと一歩の調整不足やテストプレイ不足なども散見される為、製作期間の短さがなんとも惜しまれる作品である。 その他の問題点 本作のクリティカルモード(最高難易度モード)は「被ダメージ激増、与ダメージ半減」というバランスで、『KHII FM』においての「防御面はもろくなるがこちらの攻撃力も上昇する」というアクションゲームの醍醐味であるヒット&アウェイをより強く楽しむ事が出来るようになっていた物とは全く逆方向のバランス調整となっている。 「相変わらず詰めが甘い」「アクションの醍醐味をまるで分かっていない」と、アクションを大事にするファンからは辛辣な批判が寄せられた。 一応、本作ではLv1でも一撃死を免れる「リーヴ系」のアビリティを手に入れることができ(*15)、そもそもクリティカルモード自体がクリア後の特典であるという違いがあるが、それにしたって苦行すぎる。 ちなみに制作チームが同じ『BbS FM』のクリティカルモードも、与ダメ半減でこそなかったが後半こちらの火力が極端に不足するという欠点はこの時点で指摘されていた。リーヴ系のアビリティを序盤から用意できる点も同じ(ちなみにKH2ではレベルで習得)。 シリーズマニア向けのやりこみ要素「Lv1プレイ」も本作のゲームデザイン上落とし穴がある。 なお、経験値ゼロのアビリティこそあるがLv1でのプレイは極端な縛りプレイであるため、きわめてマニアックな遊び方であることは注記しておく。しかし、こうした遊び方は『IIFM』『Re coded』等で絶妙なバランスで成り立っていたというのも事実であり、アクションに自信があるプレイヤーたちにはシリーズ恒例のやり込み要素となっている現状がある。 2周目以降のスピリット引き継ぎと「EXPゼロ」装備時でもスピリットには経験値が入るという仕様や、そもそも今作の敵は防御力は低く最大HPを高める方向でのパラメータ調整になっていることなどから、今作のLv1攻略は多彩なブースト要素をフル活用してパラメータを高め、敵の防御力を直接上回るようにして攻略するように、意図してこのようなバランス調整が行われていたと思われる。 これは上述の『BbS FM』だけでなく、好評だった『IIFM』でも決して見られなかった調整であり、本作の発売時点で既にプレイヤー間では「終盤では攻撃力・魔法力はいくら上げても敵の防御力(≒最低与ダメージ)を超えられないため無意味」という風評が定着してしまっていた。 後年になって研究が進んだ結果、従来シリーズとは異なりステータスブーストの手段が多い今作では、Lv1であってもラスボスクラスの敵の防御力を上回る攻撃力・魔法力で攻略可能であることがわかっている(*16)。 つまり、調整不足だったのではなく、馴染みのない新システムに根幹を任せてしまったことが問題だったのである。ましてや、上述のように、スピリットの育成もサクサク進められるものではない為、慣れている・早く進めたいプレイヤーにほど軽視されやすく、狙いとプレイする層がズレていた事も要因となった。 バランス調整自体は上述のようにむしろ緻密かつ過去作の反省を活かしたものとなっているため、それがプレイヤーになかなか理解されなかったのは惜しまれるところではある。 発売当初はクリア報告も僅かしか存在していなかったが、以下の仕様が明らかになった現在ではクリティカルLv1での攻略達成報告も多く上がるようになった。 + 風評の一因について 特に同制作チームであった『BbS FM』の影響は大きい。『BbS』は敵の防御力が高めであり、更に最低与ダメージが基本的に1ダメージと非常に低いバランスであったことから、一部の状態異常攻撃を除けば「最大HP=攻撃回数」であるとプレイヤー間では揶揄されていた。 そして今作でも根本的なダメージ計算式は『BbS』とほぼ同じであり、レベル1での基本攻略法は『BbS FM』と同様だとプレイヤーに誤認させる要素は揃っていた。更に『BbS』に存在したシュートロックなどの超多段ヒット技も本作では大幅に削減されており、最低与ダメージで戦う限りにおいては火力も大幅に低下してしまっていた。このことがドロップシステム、及び終盤のとあるボスの制限時間の仕様に対してLv1では火力不足で対抗できない、という認識を定着させ、前述の不評を生むことになった。 総評 総合的に見れば十分良作に値する作品ではあるが、『BbS』から改善の兆しが見えない部分もある事で、良くも悪くも大阪チーム製KHの作風が明確になった一作でもある。 シリーズの新機軸を打ち出したフリーフローアクションには一定の評価が集まっている。 その他の新要素も本作独自のフレーバーとしては申し分ない。 音楽やリアリティシフトによる演出もゲームに上手く絡めており、原作尊重の流れも崩れておらずディズニー作品の世界を鑑賞するだけでも面白い。 ストーリーは複雑だが、一方でメモワールなどのシステムでシリーズ初見のプレイヤーにも手をつけやすくするような利点も存在する。 しかし、かなり大きく賛否を分けたドロップシステムの存在、アクション関連の問題点もあり手放しに賞賛できる作品とも言えない。 過去作の問題点を積極的に解消しようと様々な仕様変更や新要素を追加したはいいものの、詰め込みすぎて空回りしてしまった要素も多くなってしまった。 余談 本作を代表するBGMである「Dream Eater」。 かわいらしい女声の「らん♪らん♪らん♪らららん♪」が特徴的な曲なのだが、この曲を手掛けた下村氏は「 オジサンが低音で歌うキモかわいい曲はどうかな? 」と野村氏に提案していたらしい……どうやら却下されたようだが。(参考) 『すばせか』からのゲストの一人である「ビイト」。 彼が隠す妙に長い本名をヨシュアにバラされてビイトが大慌てする…という原作に良く似たシチュエーションがあるのだが……名前の漢字を思いっきり間違えられている。 「尾藤大輔之丞(ビドウ‐ダイスケノジョウ)」が本名なのだが、本作だと「丞」が「丈」になってしまっている。 後述のHDリマスター版ではちゃっかり修正されているのでご安心を。 ちなみに原作でもヨシュアのセリフに「役不足」の典型的な誤用をしているものがあり、ある意味スタッフの間違った知識の犠牲者となっている。 『シアトリズム ファイナルファンタジー』ではかつて「FFゆかりの人物たちにシアトリズムを体験してもらう」旨の動画が配信されていた。 そこで最後に登場したのが野村氏だったが、いきなりカメラを強奪したあげくシアトリズムそっちのけで本作の試作版を遊んでいた。 スタッフも予想していなかった展開ではあるが、公開されたプレイ画面にはしっかりとディズニーのコピーライトが入っているところがこれまたシュール。 野村氏は、スピリットとの触れ合いは『nintendogs』の影響を受けたと「社長が訊く」のインタビューで語っている。(リンクは下記。4ページ目を参照。) 「『nintendogs』はなんで戦えないかなーって(笑)」と、かなり突き抜けた発言を岩田社長の前でしている。字面から察するに、一同大ウケだったようだ。 リンク 社長が訊く 第15回 KINGDOM HEARTS 3D インタビューを受けている部屋のムードがなんというかノムリッシュ(いい意味で)。他の作品のインタビューでは明るい場所を選んでいるため尚更目立つ。 これまで見られなかった野村ディレクターの意外な一面を見ることができる。 その後の展開 ナンバリングでないが本作は『BbS』と同様に本編に匹敵するボリュームと内容を持つ作品であり、後のシリーズでも『BbS』相当の扱いがされる事が多い。しかし『I』『II』『BbS』のような追加要素を加えた「ファイナルミックス」が発売される事は無かった。 ディレクターは「大阪開発チームが複数のタイトルを抱えていてそれどころではない状況なので、数年後はわからないが現在はその予定はない」と答えており、結果として下記のHDリマスター版としてリリースされるに留まっている。 本作のスタッフロールではある仕掛けが施されており、条件を満たすとキーワードグロッサリーに謎の英文が追加される。 簡単に訳すと「過去はより精彩な新たな数字として目覚める。次のナンバーの目覚めに備えよ」。 これだけだとよく分からないだろうが、過去=以前の作品。新たな数字=HDリマスター版『1.5』『2.5』。次のナンバー=『III』の事で、要するに『III』の復習用としてHDリマスター版が出る事を予告している。 この予告通り1年後には『1.5』が。その1年後には『2.5』が発売された。 過去作HDリマスターに収録される中で本作だけ仲間外れの状況になっていたが、2017年1月に発売された『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ』(PS4)に本作のHDリマスター版が収録された。 素のドロップゲージ蓄積速度の低下(*17)に加え、ドロップボーナスに「ドロップゲージ速度低下」が追加され、ドロップ関連のバランスが大幅に緩和されている。雑魚敵もやや怯みやすくなった。これは3DS海外版の時点で既に実装されており、追加要素自体はほぼないものの実質FM版のような再調整版となっている。 更に3DS版でタッチ操作が前提だった部分をPS4コントローラに合わせて操作の変更が行われた。 やりこみ部分ではクリティカルモードの与ダメ補正が0.5倍から0.75倍に緩和された。 なお、他のシリーズのHDリマスターのようにアビリティ「EXPゼロ」自体に与ダメ補正が掛かる仕様は追加されていない。これは上記のように敵の防御力を直接上回るようにして攻略する、という本来意図したバランスが破綻しかねないためだろう。 ちなみに本作にナンバリングを付けるなら、『キングダムハーツ2.6』になると言う。この「2.8」という微妙な数字も、同時収録の新作である『キングダム ハーツ 0.2 バース バイ スリープ -フラグメンタリー パッセージ-』の「0.2」を本作に足したものだとか。 冒頭で述べた通り、本作は一作目から続く「ダークシーカー編」完結編である『キングダム ハーツIII』の序章に位置する作品である。 しかし以降はシリーズはしばらくブラウザゲーム『キングダム ハーツ キー』(*18)や過去作のリマスターを中心に展開するようになり、上述の『2.8』が発売されるまで5年。『III』発売まで更に2年を要し、本作で予告された最終決戦が実際に始まるまでリアルタイムで7年もの歳月が掛かった。
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どこかで見た“あのゲー”ムたちを棒人間で作ってみたけれど、果たしてあなたはクリアできるのか? 【どこかでみたあのげーむたちをぼうにんげんでつくってみたけれど はたしてあなたはくりあできるのか】 ジャンル ミニゲーム集 対応機種 Nintendo SwitchWindows (Steam)プレイステーション5プレイステーション4 発売元 ディースリー・パブリッシャー 開発元 モンキークラフト 発売日 【Switch/Win】2023年7月20日【PS5/PS4】2024年1月11日 定価 【Switch/Win】1,111円【PS5/PS4】1,100円 プレイ人数 1人 セーブデータ 1個 レーティング CERO A(全年齢対象) 判定 なし ポイント 「あの」ミニゲームが本当に遊べるステージ自体の作り込みは充分やり込み要素はとって付けた感あり 概要 収録ミニゲーム ゲームモード 評価点 問題点 総評 余談 概要 D3パブリッシャーお得意のアイデア勝負なコンセプト(と長いゲームタイトル)で登場したミニゲーム集。 タイトルがカッコで括られている通り、「あのゲー」を公式略称としている。 情報社会を迎えた2020年代のインターネットにおいて、「ピンを抜いて問題を解決しようとするが失敗」「駐車場から車を出すつもりが適当にぶつかりまくって失敗」「あなたはクリアできる?」といった類の広告を目にしていない人はそういないだろう。アプリゲームの動画広告やバナー広告で嫌というほど目にする「あの」ゲームである。 本作はこういった5つのミニゲームをきちんと(*1)製作・収録した買い切り型ゲームとしてリリースされた。 収録ミニゲーム 各ステージには☆なし~☆☆☆の3段階のクリアランクが設定されており、クリアまでに要した時間で判定される(「マネーあつめ」を除く)。 ピンぬき(全100ステージ) 最も多くの人が目にしてきたであろうあのゲーム。 建物に刺さったピンを抜いて、障害物を壊したり敵を倒したりしてクリアを目指す。棒人間は丸腰のため敵に攻撃することはできず、宝に辿り着ける時以外は自力での移動もできない。 あくまでプレイヤーがピンを抜くことで場の状況を変化させ、棒人間を助けるゲームである。 ルールには「たからをうばえ!」と「すべてたおせ!」の2種類がある。 「たからをうばえ!」では棒人間を宝の位置まで移動させる。宝に辿り着けた時点でクリアとなり、敵を全て処理していなくてもよい。 「すべてたおせ!」では、文字通り全ての敵を倒す。宝は無く、全ての敵を安全に処理した時点でクリアとなる。 敵に接触する、槍・棘・爆弾・マグマに当たる、詰みになる(「たからをうばえ!」のみ)とその時点で失敗となる。 すうじタワー(全50ステージ) ピンぬきの次によく見かけると思われるあのゲーム。 一番左の塔に棒人間がいて、その右に数字やアイテムが入った塔が並んでいる。塔はいくつかの階で構成され、選択すると棒人間が突入して効果を受け、その階が消滅する。全階に突入すると次の塔に進むことができ、全ての塔の全ての階に突入できればクリア。 塔は左から順に攻略する必要があるが、突入する階数の順番はどのようにしても良い。 棒人間にはあらかじめ数字が割り当てられている。棒人間より小さい数字の敵がいる階に突入すると、敵を倒したうえでその敵の数字を棒人間の数字に足すことができる。棒人間より大きい数字の敵がいる階に入ると棒人間が倒されてしまい、失敗となる。 敵の他に「ぴかぴかソード」「さびさびソード」「まっするドリンク」「どくビン」の4種類のアイテムが置かれていることがあり、これらも必ず取得しなければならない。それぞれ順に、棒人間の数字に対してアイテムに書かれた数字を足す、引く、掛ける、数字で割る効果を持つ。どくビンで割る場合、小数点以下は切り捨てとなる。 クルマだし(全25ステージ) 目隠ししているのかと言わんばかりのラフプレイの広告で視聴者をイラつかせるあのゲーム。 大量の自動車が停まっている長方形の駐車場から、それを囲む道路に車を出していく。全ての車を出せばクリア。 自動車のサイズは3種類。赤い車を基本に、車幅が赤と同じで車長が約1.5倍の青い車(トラック)、車長が赤と同じで車幅が約1.5倍の黄色い車(オープンカー)からなる。 どの車も前後に直線移動させることができる。障害物や他の車にぶつかっても直接のペナルティはないが車の動きはそこで止まるので、動かす場合は再度指示を出す必要がある。 道路に面した箇所の一部には「ヤンキーくん」がうろついていることがあり、車をぶつけるとブチ切れされて一発ミスになる。このゲームで唯一のミス要因。 マネーあつめ(全25ステージ) プレイアブル広告でお馴染みのあのゲーム。 一本道にお金と障害物が置かれており、棒人間がそこを自動で進んでいく。道中でボタンを押すと拾ったお金を使って階段を作ることができるので、適切なタイミングでボタンを押して障害物を避けつつゴールを目指す。ゴールさえできればそのステージはクリア。 障害物には当たるとお金を失うものと、当たると即ミスになるものの2種類がある。後者はもちろんのこと、前者でも持ち金が0の状態でぶつかるとミスになる。 他に、確率でお金を失うルートと100%お金が増えるルートに分かれた2段の「ゲート」が設置されていることがある。例えばWork(労働)とRobbery(強盗)のゲートでは、Workに入ると必ず持ち金が増えるが、Robberyに入ると65%の確率でお金を失ってしまう。もちろん100%のルートを選ぶのが安全だが、高い位置に設置されていて結果的に遠回りになるケースもあるため、どちらに進むかはプレイヤー次第となる。 このゲームのみ、クリアランクはゴール時の持ち金の額で決定される。金額は画面右上に表示されている。 持ち金には他に「poor」から「gorgeous」までの評定がありクリア後の演出が変わるが、クリアランクには直接関係ない。 カラーわけ(全50ステージ) 上4つのようなパンチ力は無いものの、やはり動画広告でよく見かけるあのゲーム。 様々な色の薬が層になって入っている試験管が並んでいるので、薬を色ごとに移し替えて一つの試験管に一つの色だけが満杯に入っている状態にするとクリア。最大で8色、10本の試験管を扱うことになる。 液体は試験管の一番上の色の部分を、同じ色が一番上に来ていてかつ十分な空きがある試験管または空の試験管にのみ、移し替えることができる。例えば、黄色の液体が一番上にある試験管に緑の液体を移したり、4分の1の空きしかない試験管に2分の1の量の液体を移したりはできない。 薬を移せない状態になってしまった場合はミスとなる。 ゲームモード ミニゲームであそぶ ミニゲームを1つずつ遊ぶ。クリアすると後述のガチャに使う「コイン」が手に入るほか、そのステージを初めてクリアした場合のみ「IQ」が1加算される。 いずれのミニゲームも初期状態では最初の5ステージしか遊べず、IQが一定数に到達することで後半のステージが解放される。 ランキングにチャレンジ 「ミニゲームであそぶ」で、いずれかのゲームを全ステージクリアすると解放されるモード。 それまでにクリアしたステージから特定の3~5面がピックアップされ、その合計スコア・タイムが記録される。ミニゲーム別の他に全ミニゲームごちゃ混ぜのチャレンジがあり、さらに難易度別に「かんたん」「ふつう」「むずかしい」の3種類がある。 さいしんのランキング インターネット接続で、「ランキングにチャレンジ」での成績トップ3位までと、自己ベスト付近それぞれの世界ランクを見ることができる。 ランキングは月ごとにリセットされる。 ガチャ 下記の「プレートカスタマイズ」で使える素材が手に入るガチャ。ミニゲームやミッションのクリアで手に入るコインで回す。 プレートカスタマイズ ランキングでの名前表示に反映されるプレートの背景と称号を設定できる。 称号は「元気な」「お金持ちの」などの前半部分と「ルーキー」「ヒーロー」などの後半部分で構成され、前半と後半から1つずつを組み合わせた名称を使用する。 背景画像や称号はコインでガチャを引いて手に入れるほか、下記「ミッション」でも一部手に入る。 ミッション 達成するとコインやプレート用の背景画像・称号が貰えるお題。 一度だけ達成できる「トータル」(全99個)と、日ごとにリセットされる「デイリー」(全4個)がある。 オプション BGM・SE音量の変更とスタッフクレジットの閲覧ができる。 評価点 ちゃんと遊べる よく知られたあのゲームたちをきちんと再現しているだけでなく、バランスの良い難易度変化があり、不自然のない範囲でオリジナリティも組み込むなどきちんと作り込まれている。 後述するような各ミニゲーム単独の作品は複数存在しているが、これらを「あのゲー」としてまとめて収録するのは新しいアイデアといえる。 「ピンぬき」では棒人間ではなく宝を動かしてスーパープレイを狙えるステージが複数あるなど、シンプルながら研究しがいがある設計なのも楽しい。 スマホゲームらしい演出 ステージの番号がずらっと並ぶ、最大評価が☆☆☆、ミッションやガチャがあるなど、スマートフォンのゲームアプリをイメージさせる演出がそれっぽい。 もちろん本作に課金要素は存在しない。 コミカルかつ分かりやすいデザイン あえてキャラクター性を廃したコミカルなデザインで、低予算ゲーム特有の気恥ずかしさが無い。 説明文には平仮名を多用しており、低年齢層にも遊びやすい。説明はステージ一覧からも見返せる配慮もされている。 全体的にロードが軽快 全体を通して読み込みはほぼ無く、リトライも爆速。 問題点 ボリューム 「全250ステージ」という触れ込みだが、1000円超のゲームとしてはやや物足りないうえ、先述した通り50ステージ×5ゲームではない。 「ピンぬき」が100ステージあるのに対し、「クルマだし」と「マネーあつめ」はわずか25ステージしかなく、実に4倍もの差がある。オムニバスとはいえ、この2つはさすがにもう少しボリュームがあるべきだろう。 家庭用機とは一概に比較できないが、スマホではこれらのミニゲームを収録したある程度まともなゲームであってももっと安価でステージ数が多いものが多数配信されている。 例として、同じくピン抜きを本当にプレイできるようにしたスマホゲーム『Hero Rescue』は本作を上回る全450ステージを無料で遊ぶことができ、広告削除も400円(2023年現在)で行える。 クリア評価が「マネーあつめ」以外時間制 特に「クルマだし」は早解きよりも手数を減らすことを極めていくタイプのゲームであり、タイムアタックはコンセプトに合っていない感が強い。評価点で記述した通り、ステージがかなり作り込まれているだけになおさらである。 考え抜いてクリアに辿り着いたとしても、時間ノルマをクリアできていなければ「さっき考えた攻略法でもう一度同じステージをクリアする」という不毛な周回プレイが必要になってしまう。 「すうじタワー」については構成上クリアまでの手数は必ず一定になるため、時間制にするのは仕方がないのだが、上記の問題は依然として残る。 多くの類似ゲームではクリアに要した手数が評価基準になっているが、本作ではそうなっていない。それどころかミッションにおいても、意図的に手数を増やすものはあっても減らすものは一切無い。 下記の運要素があるとはいえ、ステージごとのハイスコアも記録されない。 実力で対応できない運要素がある 「マネーあつめ」において確率でプラスかマイナスかになるゲートを通過した場合、「全く同じ手順でクリアしたのに最終評価が違う」という理不尽な展開になってしまう。 クリアタイムがオンラインランキングの対象となる「ランキングにチャレンジ」でも、選ばれるステージはプレイする度にランダムである(完全ランダムではなく、対象のステージはある程度決まっているが)。 理論上最速でクリアしたとしても選ばれたステージによって成績が変わってきてしまうため、ランキングとしてはやや不条理さがある。 一部ミッションの内容 ステージ数がそれほど多いわけではないのに、「ミニゲームを○回クリアする」というミッションが複数存在する。最大は各ミニゲームを500回クリアするというもので、非常に作業的。 上記の通り「ピンぬき」でも100ステージしかないため、400回近くものクリア作業を繰り返さないと達成できない。 これだけ気の遠くなるような回数なのに、進捗状況が表示されないのも難点。 タッチ操作の反応が悪い 大元がスマホ向けのゲームのためコントローラーでの操作が煩雑なのは仕方ないにせよ、Switch版は頼みのタッチ操作の反応までよろしくない。 特にスライド操作が苦手なようで、ピンぬきでピンを抜く動作やクルマだしで車を動かす操作が反応しないことが多い。ストレスなくプレイしたい場合、この2つはカーソル指定だけタッチで行い方向操作はスティックで行うのが良いだろう。 処理落ち 3Dグラフィックを使用している「マネーあつめ」「クルマだし」では処理落ちがある。 「クルマだし」では、既に駐車場から出て外周を走っている車と、駐車場から外周へ出ようとする車が交差すると通常は片方が一旦止まってもう片方を行かせる動作になるのだが、その動作にならず引っかかって両者が数秒間ほとんど動かなくなってしまうことがよく起こる。 また、駐車場内を移動している車の動きが突然遅くなることもしばしば。 このせいで普通に動いていれば当たらない車同士がぶつかってしまったり、タイミングがずれてヤンキーくんに当たってしまったりといった事故が多発する。車が交差しないようにある程度間を置いて動かせば防げなくはないものの、制限時間の厳しい前半ではそれも難しく、きわめてストレスフルである。 総評 詐欺ゲーや粗悪ゲー、動画広告がしつこいゲームが目立つ中で快適なプレイ環境を提供してくれる、救いのようなゲーム。スマートフォンでの展開が無いのが悔やまれるが、お手軽に遊べて熱中できる暇つぶしにぴったりな作品である。 ただ、お値段に比してボリュームが控えめなのは気になる点。やり込み要素にも難が目立ってしまっている。間違いなく画期的な作品ではあるが、現状で満足できるゲームがあるならばむやみに買い足すほどではないだろう。 余談 価格は棒人間にちなんで1111円となっている。
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グランデュエル~深きダンジョンの秘宝~ 【ぐらんでゅえる ふかきだんじょんのひほう】 ジャンル カードバトルRPG 対応機種 ゲームボーイカラー 発売・開発元 ボトムアップ 発売日 1999年12月10日 定価 4,500円(税抜) プレイ人数 1~2人(対戦は通信ケーブルが必要) 判定 なし ポイント カードバトルとダンジョンRPGの合成 概要 ダンジョン カードバトル 通信機能 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 地下100階まであるダンジョン最深部を目指すゲーム。 戦闘はカードゲームで行い、新たなカードを入手して自分のデッキを強化しながら進めていく。 強化したデッキで友達との通信対戦が可能。 ダンジョン ダンジョンといっても複雑な構造ではなく、不思議のダンジョンシリーズのように挑むたびに構造が変わり、各階層のどこかに階段があって部屋で区切られているタイプ。 レベルアップの概念はない。カードを集めたいのなら隅々まで探索、そうでなければ階段を探して即降りが基本である。 全100階層だが、部分的に6つに分かれているので、実質6種類のダンジョンがあると考えていい。 途中にいるボス(5・15・30・50・75階)を倒すことで中間ポイントが作られ、そこから再開することができる。 ダンジョン内には見えない罠が仕掛けられており、アイテムカードを使わない限り回避できない。 罠にかかるとステータス異常に冒されたり、次の階に落とされたりする。 ステータス異常は自然治癒するが、そのまま敵に出会うと苦戦するので治療アイテムを常備しておくのが有効。 カードバトル あらかじめ30枚のカードを組み合わせたデッキを構築しておく。数を減らしたり増やしたりすることはできない。 カードは大きく分けて「攻撃カード」「補助カード」「アイテムカード」がある。アイテムカードはデッキに入れられず、移動中に使用する。 戦闘ではデッキの30枚のうち5枚がランダムで場に出現するので、どのカードを使うかを選ぶ。補助カードは2枚まで使える。攻撃カードは1枚選ぶと、そのカードで攻撃行動に移る。 場のカード5枚が全て補助カードになってしまった場合は攻撃ができず、どれか1枚を交換することになり、無防備のまま相手に1ターン行動されてしまう。 ダンジョン内で死ぬと、デッキに入っていないカードを全て失い地上に戻される。 強力なカードは常にデッキに入れているはずなので、それほど大きなペナルティではない。 属性は無属性(*1)を除くと6種類あり、他の属性との相性はそれぞれ有利2・不利2・影響なし2となっている。 相性が有利だと自分の倍率が+1され、不利だと相手の倍率が+1される。そのカードのAP(アタックポイント)×倍率が最終的な攻撃力となる。この攻撃力同士を比べ、その差が相手または自分へのダメージとなる。 カードだけでなく、自分と相手がいる地形にも属性があり、それも倍率に影響してくる。 攻撃カードには強化度があり、合成によって最大255まで強化できる。 単独の属性カードを別の属性カードと合成すると複合属性カードになる(*2)。複合できる属性は2種類まで。 補助カードには地形属性変更・HP回復・AP強化・ステータス異常付加など様々なものがある。 召喚カードはダメージ判定で勝った場合、与えるダメージを強化してくれる補助カード。それぞれ得意な属性があり、地形属性と一致するとダメージがさらに増加する。 通信機能 通信対戦は、自分のデッキを使うか、設定されたレンタルデッキを使うか選べる。 赤外線通信でカードの交換が可能。 評価点 お絵描きモードがあり、自分が描いた絵のカードを使用可能。もちろん通信を利用して交換もできる。 ゲームバランス 序盤は簡単、しだいに難しくなっていく。即降りだけでクリアできるのは1つ目か、運が良くても2つ目のダンジョンまでだろう。 ダンジョンと村を往復し、しっかりデッキを強化することで深い階層に潜る力がついてくる。 気軽に中断が可能 ダンジョン内でセーブできるカードや、いつでも村に戻れるアイテムカードが頻繁に拾える。村に安価で売られてもいる。 賛否両論点 バランスを崩しがちなAP強化カード 属性一致ならばAPを直接増加させることができる補助カードで、+1000のものを2枚使えば2000も底上げできる。さらに属性によって倍率がかかるので、高い倍率が得られれば楽にカンスト(9999)する。 カードの強弱や多少の属性不利など跳ね返してノーダメージで相手を倒せてしまう。もちろん大量に集める必要はあるし、発動できるかどうかは運が絡むのだが。 カードの強化には時間がかかる 攻撃カードの強化値は合成によって増やしていくしかなく、同じ属性のカードを大量に集める必要がある。また合成には別途マテリアルカードも必要で、買うと高いのでお金も集めなければならない。 言い換えればプレイ時間が長いほどカードを強化できるということなので、対戦するプレイヤー間で有利不利がつきにくい。 問題点 属性の相性が直感的にわかりにくい 「火が水に強い」「闇が風に強い」「土が光に強い」など、原理がよくわからないので覚えるしかない(*3)。 属性を2種類持つカードは両方の相性が組み合わさり、さらに地形効果までも加味して攻撃倍率が決まるのでややこしい。 CPUキャラの個性がほぼない 相手によって得意な属性などがあるが、エンカウントで出会う相手を選べるわけではないので意味がない。 勝利時に手に入るカードも相手のデッキからランダム。せめて好きなカードを1枚もらえるとかなら集めやすかったのだが。 CPUもモンスターを連れているが、グラフィックが違うだけで強さはどれも一緒。主人公のモンスターも一緒で、特徴がない。 戦闘のテンポが悪い 攻撃時はまずカードを取り出してモンスターに力を与え、モンスターが攻撃を繰り出すというアニメーションが毎ターン挿入される。アニメOFF機能はなく、召喚カードなど入れようものならさらにテンポが悪くなってしまう。 そもそもCPUとのバトルに勝ってもカードを1枚もらえるだけで、拾い集めたほうが時間的効率が良いので戦う必要性が薄い。幸いにも逃げられるカードを最初から1枚持っているのでうまく使いたい。 持ち物の整理がやりにくい デッキ30個と持てるアイテム(最大20個)が一括で扱われているため、ごちゃごちゃになってしまう。 拾ったカードは不確定名になっていることがあり、鑑定カードを使うか村に戻るまで使用できない。不確定カードが溜まるとすぐに持ち物がいっぱいになってしまう。 整頓機能はあるが、入れ替え機能がないので大雑把にしか整理できない。同じカードを並べてすっきりさせるだけでも大変。 対戦に戦略性がない デッキの相性や集めたレアカードの数、カードの強化具合で勝敗が決まることが多い。 お互いのデッキが極まってくると即死や反射のカードが飛び交うだけの運ゲーになる。 総評 カード集めとダンジョンRPGの奇跡(?)の融合。 育成すればするほど強くなるが、カードの入手は運頼り、対戦バランスは相性や育成具合で決まり戦略性がないなど、カードゲームとしての欠点も多い。 コツコツと努力をして少しずつ強くなっていくのが好きな育成マニア向けのゲームと言えるだろう。 余談 主人公のデフォルト名は「チーノ」だが、これはイタリアのパスタ「ペペロンチーノ」の略称。地名や人物名にもイタリア料理の名前が使われている。 別のイタリア料理の名前に変えると、特殊なデッキでスタートできる裏技が発動する。ただし付けた名前を変えることはできず、妙な名前でのプレイを強いられる。 コロコロコミックとタイアップしており、イベント会場で参加者に体験版が配られた。 製品版にはパスワードが設定された隠しカードが存在し、発売後しばらくしてコロコロ本誌などで公開された。 ゲーム中に登場するモンスターはNINTENDO64の育成RPG『おねがいモンスター』からの出演である。個性が全て削られてしまったのが残念なところ。 続編がGBAで発売予定だったが、発売前にボトムアップが倒産してしまい幻となってしまった。
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バイオミラクル ぼくってウパ 【ばいおみらくる ぼくってうぱ】 ジャンル アクション 対応機種 ファミリーコンピュータファミリーコンピュータ ディスクシステム 発売元 コナミ 開発元 コナミ 発売日()は書換開始日 FCD 1988年4月22日(1988年6月14日) FC 1993年2月16日 定価 FCD 3,300円 FC 4,290円 プレイ人数 1人 配信 バーチャルコンソール Wii 2008年6月3日 3DS 2014年2月19日 WiiU 2015年7月15日 判定 良作 ポイント 史上初! 赤ん坊が主役のアクションゲーム時代に恵まれなかった不運 概要 内容 ストーリー システム 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 1988年にコナミから発売された当時としては非常に珍しい赤ん坊が主人公のアクションゲーム。 赤ん坊が主人公で、しかも危機に瀕した王国を救うために冒険するという、過去に例を見ないストーリー。 全体的にコミカルタッチなものになっている。 当初はファミコンディスクカードとして発売されたが、ファミコン末期の1993年にロムカセット化もされた。 ロムカセット版はイージーモードが搭載。また、拡張音源非対応のためBGMの細部が異なっている。 内容 ストーリー ルアクーヨ国の王子ウパは、生後一か月ながらもハイハイができるようになり、 王国の大臣をして「ただ者ではない!」と言わしめたほどのやんちゃなイタズラっ子であった。 ある日ウパは、その昔、勇者ウパラートに封じられた魔王「ザイー」の眠る壺を割ってしまう。 解き放たれたザイーはその魔力で人々の夢を奪い、人々はすっかり無気力になってしまった。 しかし、純真な心を持つ赤ちゃんにだけは自分の力が通用しないことに気付いたザイーは国中の赤ちゃんをさらってしまう。 ただ独り難を逃れ悲しみに暮れるウパの前に妖精が現れた。 ザイー封印に巻き込まれてしまったというその妖精は、ウパに純真な赤ちゃんだけが使いこなせる魔法のガラガラ 「ガラ=スウォード」を授け、ザイーを退治するよう懇願する。 ウパは王国の平和を取り戻すため、ガラ=スウォードを手に冒険に旅立つ。 システム 主人公のウパはハイハイして進む。 一見遅そうに見えるが、実は決して遅くないし、ジャンプもかなり高く飛べる。 高所から落ちると、ひっくり返ってしまい少しの間動けなくなる。こうなる場合、空中でウパが直立姿勢になるので、先に察知することが可能。 ライフ制でハートで表示され、0になるとミスとなる。 ハートは初期値は2だが、アイテムのハートを取ると1つ上限が増え最大5。 ダメージは常に1のみ。 ROMカセット版のイージーモードでは、初期ハートは3、ダメージは0.5。ハートの上限はFDS版・ROM版ノーマルモードと同じく5。 直接敵を倒すような攻撃はできず、ウパの武器「ガラ=スウォード」を敵に向かって振ると、敵はまるで風船状に膨らむ (『ディグダグ』のように連打する必要はない) 。 膨らんだ敵は、そのままゆっくり宙に舞い上がっていく。一定時間が経つとパチン!とはじけて、倒したことになる。 その膨らんだ敵に体当りすると高速で飛んでいき、それを他の敵に当てることで倒すことができる(スーパーマリオブラザーズのノコノコの甲羅を蹴飛ばすようなもの)。弾かれた敵は壁や天井・床で跳ね返り、跳ね返ってきた敵にウパが当たってしまうとダメージを受ける。 ボスは「ガラ=スウォード」が通じないが、ボスと同時にザコも必ず出るので(*1)、そのザコ敵を膨らませて、体当たりで弾いてぶつけることでダメージを与えて倒すことができる。 膨らんだ敵を足場にもでき、それに乗って上昇もできる。ただしウパが乗った状態ではじけてしまうと落ちるだけでなく、ダメージを受けることになる。 全7ワールドで各ワールドはそれぞれ3エリア構成になっている。 3エリア中1つは変則的なものになっている。 ボスを倒し際に出てくる宝箱を「ガラ=スウォード」で開け、囚われた妖精を開放することでステージクリアとなる。 一部ボスがいないステージは、最奥に進むことで宝箱が降ってくる。また、3エリア目は宝箱が2つ出現し、片方には1UPが入っている。 ステージ構成 ワールド1 スイートワールド エリア2はスポンジケーキの中を上下左右に食べながら自由に進める。 ワールド2 ベジタブルワールド エリア2は水中面になっている。 ワールド3 アイスワールド エリア3は上にどんどん登っていく。 ワールド4 ICワールド エリア2は上下が逆になっており、上側に重力がある(つまりジャンプが画面下)。 ワールド5 ステイショナリワールド エリア3は水中面になっている。 ワールド6 ミルキーワールド エリア2はチーズの中を上下左右に食べながら自由に進める。 ワールド7 ミラクルキャッスル 1エリアは上から下を目指して落ちる格好で進む。 アイテム ミルク(満タン) ライフが全回復 ミルク(半分) ライフが1メモリ回復 ハート ライフ最大値が1つ上昇し同時に全回復 砂時計 画面上の敵が一定時間ストップ(止まっていても触れるとダメージを喰らう) ナマズ 押して下に落とすと地震が発生して画面上の敵が全滅 ベル ウパが直立して走り出し一定時間無敵 ただし、効果中はガラ=スウォードを振れないため、宝箱を開けることができない、という難点がある 「1UP」の看板を持ったウパ その通り残り人数が1人増える 評価点 当時のアクションらしく操作自体はそこまで複雑なものではない。難易度もさほど高くなく見た目通り癒し系。 敵を膨らまして飛ばしたり、足場にしたりなどは独特だが、言い換えればそれさえ覚えてしまえば、それ以上に細かいものを覚える必要はない。 ちなみに、この飛ばして倒すはアクションゲームの代名詞『スーパーマリオブラザーズ』から続いているので、とりわけ難しいものでもないという見方ができる。 この「膨らました敵を飛ばす」は縦・横・斜めが有効で、その当り方には少々コツがあり低年齢層には少々荷が重い所があるが、この程度なら「適度なやりごたえ」の範疇だろう。 また、見た目通り低年齢層でもクリアは十分可能なやさしめの難易度になっている。 もちろんコンティニューも無制限で、各ワールドのエリア1から再スタートできる。 ステージのギミックが多彩で、しかも変則的なエリアも多いので非常に変化のある展開を楽しめる。 上記の通り3エリア中1エリアは、横道型なアクションではなく、ジャンプなしの上下左右で進んだり、水中面であったり等。 また4ワールドの2エリアは上下逆重力と言う、今までになかった新しい趣向が盛り込まれている。 実は意外と当り判定の広い「ガラ=スウォード」。 多少上下にズレていても命中するので、敵のいる狭い足場にも着地する場合でも、案外何とかなることが多い。 直接倒す手段は乏しいだけに、これだけでもゲームバランスを良く保てている。 また、敵を膨らまして足場にするという形で今までにない新しいアクションを生み出している。 かわいらしさに徹した世界観やアクション。 ストーリーに反して、いろいろプレイヤーの身の回りにあるものなどで作られた世界は、赤ちゃんのウパの冒険によく似合っている。 ラストのミラクルキャッスルも、おもちゃで構成されている。 フワフワと降りて空中で直立してそのまま足から落ちてひっくりかえるウパのアクションにしても、立てずに後ろに転んでお尻を見せるという、実際の赤ちゃんでも見られるかわいらしい動きの典型である。 良質なコナミックサウンド。 可愛らしさとノリの良さを兼ね備え、世界観にマッチしたBGMが揃っている。 ワールド1-1などの地上面で流れる「A Rattle Samba」は『極上パロディウス』や『ポップンミュージック9』でも使用されるなど、本作の象徴的な曲と言えるだろう。 ディスクシステムの拡張音源に対応し、音の深みが増しているのも評価点。 概要の通りロムカセット版は拡張音源非対応だが、違和感が少ないようにBGMがアレンジされている。 効果音もガラ=スウォードのガラガラ音をはじめ、小気味が良いものが揃っている。 賛否両論点 ワールド4-1について ゲームが中盤に差し掛かると登場するワールド4-1に配置されているアイテムの多くは隠し部屋に配置されている。ワールド開始時にライフ最大値を増加させるハートも隠し部屋に存在しているので、プレイヤーは必然的に隠し部屋へ向かう事になる。 アイテム類が隠し部屋に存在している点は、探索アクションを好んでいるプレイヤー層にとってはアイテムの探しごたえがあるという事で好評を得ている。 一方、ステージ内の隠し部屋については基本的にノーヒントである事から、初心者にとっては不親切に感じられる。特に初めてこのステージに入った場合は、ステージの構造上プレイヤーの強化無しでボス戦に挑みがちなので、何もわからないままゲームに詰んでしまう事も十分にあり得る。 問題点 膨らませた敵を足場にしなければ進めない場所が少ない。 初心者に優しいとも言えるが、折角の特徴的な要素なので、それを活かせていないのはもったいない。 高所のアイテムを取る、より安全なルートを通るために高所へ行くなどの場面はそれなりに存在する。 終盤、地形を越えるために空中の敵を膨らませることを選択肢に入れる必要のある場所が存在する。が、そこで登場する敵は比較的高速でウパを狙って飛んできた後、そのまま画面外へ消えて行ってしまうので、足場として利用するには慣れが必要となる。もう一つの手段として、ここではゼリーの床 (トランポリンのように勝手に飛び跳ね、タイミングよくジャンプすると普段より高く飛べる) を使う手もあるものの、充分に高いジャンプを出せるタイミングはややシビアであり、かつ高度が足りないとそのまま穴へ落ちてしまう。結果として、易しめなこのゲームにおいては若干難易度が突出したポイントとなっている。 落下する足場のスピードが速い 該当する足場に着地した瞬間に物凄いスピードで落ちていく。特にワールド2-1の連続で落下する足場を渡る場所は、ダッシュができないウパの性能と合わさってタイミングが結構シビア。 ROMカセット版のイージーモードでは、1-3等に登場する乗ると移動速度やジャンプ力が落ちる足場共々ギミックが作動しなくなっているため、難易度は緩和されている。ただし、わざと足場を落下させて下に降りることができなくなったため、イージーモードでは一部のアイテムを回収できなくなってしまった。 ボス敵の使いまわしが多い。 特にワールド1-1から登場する「かとりーぶ」は全ワールド・エリアの半分ほどの登場頻度である意味本作の顔とも言える敵。 一応、同じボスでも地形やギミックの違いで多少の差別化は出来ている。また、ディスクシステムの容量を考えればボス敵の流用が多くなるのは仕方ないことだろう。 総評 コミカルでかわいらしい見た目と、それに見合ったやさしめの難易度など、ゲームとしてコンセプトは一貫しており、狙ったターゲットに適した作りになっている。 単純に敵を倒すだけでなく足場として利用するといったアクションの新しさを盛り込み、ステージ構成に関しても変則的で短時間の間にメリハリある変化を感じさせる巧みな作りとなっており、展開の冗長さを排除している。加えて、世界観やキャラクターにマッチしたBGMのすばらしさも相まって、総じて高い完成度でまとめられている。 しかしながら本作の発売当時は『ドラゴンクエストIII』が一大社会現象にまで上り詰めていたため、業界とユーザー全体にRPG推しの風潮が強まっており、このような純然たるアクションゲームは時代遅れと見なされる傾向が強かった。既にディスクシステム自体が末期だったことも手伝って知名度も高くなく、隠れた名作的立ち位置に収まったことは時代の不運と言えようか。 難しいアクションとハードな世界観のアクションゲームに疲れた……そんな時には本作を遊んでみてはいかがだろうか。 余談 『ファミリーコンピュータMagazine』の1988年12号(6月17日号)の裏技コーナー「超ウルトラテクニック50+1」で本作を使ったウソテク(*2)があった。 それは「タイトル画面で隠しコマンドを入れると『沙羅曼蛇』がプレイでき、その自機がウパ(ビックバウパー?)になっている」というもの。 本当にあったなら面白そうな技だが、『沙羅曼蛇』そのものが1メガなので、ディスクカードでそれを入れたらウパのゲーム本編がほとんど入れられないので、それが理解できるなら簡単にわかる嘘ネタだった。 なお『沙羅曼蛇』はプレイ出来ないものの、タイトル画面で特定のボタンを入力すると、最終面以外の自由なステージを選び遊ぶことが出来る本物の裏技がある。 ウパは後々『ワイワイワールド2 SOS!!パセリ城』にて、本人ではないが主人公ロボット・リックルの変身形態のひとつとして登場している。 敵を倒すと雲に変換できて1UPが容易なことや、当たり判定の小ささを活かした初心者向けのキャラであるが、その反面攻撃性能は低い。もっとも同作はビルが強すぎることもあり、最強の一角であるDタイプにてサポート役に徹することができるウパはしっかりと役目があるとも言える。 また、その前作『コナミワイワイワールド』は、後に携帯電話用に移植された折に、権利関係の問題でカットされたマイキー(『グーニーズ2 フラッテリー最後の挑戦』)の代役でウパが登場(*3)。 しかし、元々同作のマイキー自体が使い勝手の悪いキャラクターだったため、代替のウパもその性能を引き継いでいる上に本作ではガラガラに特殊効果が一切なく、残念ながら性能は良くない。 ウパは更にその後は、シューティングゲーム『極上パロディウス』(SFC版のみ)と、その続編『実況おしゃべりパロディウス』の2作にも参戦。他にも音楽ゲーム『ポップンミュージック9』にも今作のBGMのアレンジver.である「バイオミラクル / ぼくってウパ?」を引っ提げて参戦している事から、現在はレトロゲームを代表するキャラの一人として定着しているようだ。 なお、『極パロ』では彼の2Pカラーとして、原作には登場しない彼の妹という設定の「ルパ」が新たに登場。外見はウパそっくり。彼女は『実況パロ』『ポップン9』にも兄妹揃って参戦している。
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シャングリラ・ワールド 【しゃんぐりらわーるど】 ジャンル ノベルゲーム 対応機種 Android 4.1以上 メディア ダウンロード 発売元 エンタブリッジ 開発元 エンタブリッジ 発売日 2019年4月16日 定価 基本無料(広告視聴あり)クリア後の章は広告視聴をするか360円で購入 プレイ人数 1人 セーブデータ 1個 レーティング 全ユーザー対象 判定 良作 ポイント AIとともにMMORPGを開発する物語人生とゲームの切れない関連性 概要 登場人物 システム 評価点 問題点 総評 概要 テキストを読み進めていくADVゲームの1作。 青年タクが開発していたMMORP「シャングリラ・ワールド」を舞台に、ゲーム内AIのフィオナ、そしてテスターとして雇われた少女美咲の3人で、シャングリラ・ワールドをリメイクしていくストーリーである。 登場人物 タク 明朗快活な高校生。プログラマーとしての才覚があり、たった1人でMMORPG「シャングリラ・ワールド」の開発を手がける。 フィオナ シャングリラ・ワールド中のヒロインを務めるキャラクター。 ゲーム内のキャラクターであるが、タクの技術により独自の自我を持っている。シャングリラ・ワールドのゲームとしての欠陥に目をつけ、作り直しを提案すべくタクからゲームマスターの権限を奪い取った。 全体的にノリがよい性格がタクに対しては毒舌。ただ単にタクを見下しているわけではなく、彼女なりに思うことがあるようだが…。 美咲 ゲーム好きで引っ込み思案な少女。数々のバイトを受けるが様々な事情で長続きしてこなかった。 入院続きの生活を送ってきており、友達を作りたいと思っている。シャングリラ・ワールドのテスターの募集に興味を持っていたところを、フィオナにスカウトされる。 システム ストーリーは原則1本道。間違えた選択肢を選ぶとバッドエンドかアナザーエンドになる。 セーブは、ストーリーを一定区画進めることで自動的にセーブされる形式。 メインメニューに戻らずにゲームを中断すると、再開した際は最後にセーブした場所からのスタートとなる。 メインメニューに戻ると、一度読了した章・節をいつでもプレイしなおすことが出来る。 広告 一括30秒のものが放送される。 広告を見ることで、間違えた選択肢のところから即座にやり直し可能となる。 その他、シナリオの一定区画を進んでいる間広告を見なくてはならない場合もある。 スタミナ制は一切採用していない。 評価点 とっつきやすさ タップ以外の複雑な操作を必要としていない。 タク、フィオナ、美咲の3人の対話そのものがストーリーの9割を占めるので、物語自体も理解はしやすい。 連続タップすれば、彼らの発言もすばやく次に送られていくので攻略のテンポ自体も悪くは無い。読み飛ばしてしまった範囲は、バックログでもういちど読み直すことも一応可能。 AIを用いた独自の設定 本作は、AIが自我を持つという世界観である。 序盤のフィオナの活躍だけでなく、終盤のとある展開でもこのAIが影響を及ぼしてくる。 シャングリラ・ワールドには独自のAIが搭載されており、プレイヤーたちがログイン中にとった行動をAI分析し、ログアウト中に補助を行うといった機能もある。 MMORPGの開発やあるあるを題材にしている 登場人物たちが、ひとつのMMORPGを開発していくという物語であり、プレイヤーにどうすれば楽しんでもらえるようになるか、といったことを真剣に議題にしていく。 レベル上げ、NPCとのイベント、ランク付け、季節要素、課金要素は果たして必要なのかといった基本的なことを題材としている。 ゲームプレイヤーにとってのあるあるも議題に取り入れており、共感性の高いものとなっている。クリエイター側の自己満足や薄ら寒いような展開とはならない。 ほのぼのしていた中盤からの急展開 + ネタバレ 陽気でネタキャラと思われていたタクは、実はかなり数奇で壮絶な経歴の持ち主である。 中盤までは天才プログラマーたるタクが設計したMMORPGを、クソゲーではない作品として完成させるストーリーとなっている。 しかしそれ以降タクの闘病にまみれたひどい人生に焦点が当たるようになり、ゲームを作っていた本当の目的が明かされる。そこから人生とは本当にクソゲーなのか、という題材に発展していく。 フィオナも、シャングリラ・ワールドの改良だけではなく、実はタクに生きる目標を見つけさせるという目標を掲げていたことが判明。みさきがテスターに選ばれた理由も、タクの生きる理由を作るためであったところが大きい。 その他 立ち絵のパターンはかなり豊富。表情だけでなく、キャラの衣装にもいくつかバリエーションがある。 ゲーム中のとある進行の都合で本当にアプリからサインアウトさせられる演出があり、プレイヤーの意表をついてくる。 問題点 本編以外のルートのつくりこみ 根幹のストーリーの出来は良いのだが、バッドエンドは実質物語をぶつ切りにする存在なだけ。 バッドエンドになると、登場人物が苦しんだり、悲鳴を上げる展開になった後、唐突に話が終わってしまう。なぜバッドエンドなのか納得のいかない場合もある。また赤黒く「GAME OVER」と表記されることもあり怖い。 アナザーエンドも一応メタネタだったり、エンタブリッジの別アプリの宣伝だったり、あるいはまったく別のストーリーに展開して終わり、といったところ。こちらは一応楽しむことは可能か。 広告の視聴頻度が少々多い 全バッドエンド・アナザーエンドを網羅することで、新たに視聴可能になるストーリーが存在する。 選択肢を選ぶ場面から開始したい場合は広告を見なくては成らないので、効率よくエンディングを網羅しようとすると3~5分に1回のペースで広告を見ることになる。 課金コンテンツについて クリア後のとある章は、課金コンテンツ(あるいは広告視聴)となっている。 本編のボリュームに比べて特にたいした内容でないので、ここだけ課金コンテンツにする必要があったのか怪しいところ。 ADVゲーとしての機能性 バックログ機能が弱い。バックログで閲覧(*1)できる範囲は、最後にイベントスチルやムービーが挟まれた場所から今読んでいるところまでと狭い。 セーブは完全自動。セーブされる頻度自体は高いので中断しづらいわけではないが、好きなタイミングでセーブできない。 総評 ゲーム性自体はただテキストを読み進めるシンプルなものだが、MMORPG開発に関する共感性の高い題材から取り掛かり、現実をどう生きるかをテーマに転換していくストーリーの読み応えは高い。
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クソゲーまとめ @ ウィキ(跡地) クソゲーまとめ @ ウィキ(跡地)へはこちらから 特徴 発足 2011年9月21日 クソゲーをまとめていたwiki。2013年7月1日にゲームカタログ@Wiki ~名作からクソゲーまで~に統合され、今は機能を停止している。 コメント 名前 コメント
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Goat Simulator 3 【ごーとしみゅれーたーすりー】 ジャンル シミュレーション/アドベンチャー 対応機種 プレイステーション5Xbox Series X/SWindows(Epic Games Store) 発売元 DL版 Coffee Stain Publishing ABPKG版 Koch media 開発元 Coffee Stain North AB 発売日 2022年11月17日 定価 Standard Edition 3,850円(税込)Deluxe Edition 4,950円(税込) プレイ人数 1~4人 レーティング CERO C(15才以上対象) 判定 良作 バカゲー ポイント 話題になったヤギゲーの続編何故か『2』を飛ばして『3』オンラインマルチプレイにも対応 Goat Simulatorシリーズ1 / 3 概要 特徴 おバカな点 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 日本でも話題となった2014年に発売されたおバカシミュレーター『Goat Simulator』のまさかの続編。 本作は『Goat Simulator』の2作目であるが、ナンバリングは何故か『2』ではなく『3』となっている。 特徴 本作のマップは「サン・アンゴラ島」という島を舞台としたオープンワールドとなっている。 前作から追加されたアクション・要素。 アクションに「グラインド」が追加。電線などを伝って滑走することができる。 その他、街中を走っている車両を奪い取って運転することも可能。 最大4人までのオンラインマルチプレイにも対応。 おバカな点 前作でも多々見られたパロディネタは本作においても健在。 ゲームを開始すると流れるオープニングは、どう見ても『The Elder Scrolls V Skyrim』のオープニングそのもの。 というかゲーム内でもオープニングの終わりに「さっさとスカ〇リムカートを出てゴートタワーに向かえ」という台詞が出る始末。 この他にも、スカイリムのパロディネタは多い。 とあるエリアでは『Wolfenstein 3D』のようなグラフィックのマップになったり、静かな丘なるホラーエリアがあったりする。 ゲーム関係以外のパロディネタも多い。建物の看板に赤色の四角に白文字で WONDER (*1)といった映画の看板があったり、コスコンで某ヒーローが持っている金属で作られた円形の盾(投げて攻撃することが可能)が手に入ったり、と様々なネタが仕込まれている。 とはいえ、海外産ゲーム故に洋ゲー・海外作品のパロディネタが多く、一部日本人に馴染みの無いものもあるが。 上記のパロディネタを抜きにしても、おバカな点は多い。 特にクエストの攻略方法は奇想天外な手段を強いられることが多く、思わず笑ってしまうものも多い。 クエストの結末も予想外の出来事が起こったり、逆に予想通りの大混乱を引き起こしたりと、おバカな内容だらけである。 + 例えば…(攻略上のネタバレ注意) 山でビッグフットを探して捕まえるクエストがあるが、普通に探しても見つからない。 それもそのはず、このイベントで捕まえるべきビッグフットとは、UMAではなく、文字通り足が物凄くデカい人間を連れてくること。確かにビッグフットだが……。 「スティーブを救え」というクエストでは、「溺れているスティーブを助けてあげよう!」とのことだが、温泉で溺れている男性を助けてもクリアにならない。 よく見てみるとこの男性の名前は「ノット・スティーブ」、つまりスティーブではない。そこで、近くに浮かんでいる魚を捕まえてみると、その魚の名前がスティーブであり、そちらを助け出すことでクリアとなる。魚なのに溺れるのか……。 「押すな、危険」というクエストでは、施設のボタンを押すと空から爆弾が降ってくる。 落ちてきた爆弾を触ると、案の定大爆発。そして「あやうくキム・ジョンウ〇」という一文と共に、Falloutの服が手に入るという結構危ないネタもある。 よく日本でリリースできたものである。 評価点 各段に広くなったオープンワールドマップ。 前作ではオープンワールドと言うには狭めだったマップだが、本作の舞台である「サン・アンゴラ島」はオープンワールドと呼ぶのに相応しい広さのマップとなっている。 ゲーム開始時にそれなりのロード時間は入るものの、マップ間でのロードを挟むことなく、シームレスに移行する。 ただし、その分要求スペックが増えたのか、CS機ではPS5とXSXのみと、高スペックゲーム機でしかリリースされていない。 豊富なクエストの数々。 本作には「クエスト」と「衝動的ミッション」の二つの指標があり、それらをこなしていくことが主な目的となる。 オープンワールドのマップには様々なクエストが配置されており、そのクエストの攻略方法もパズルのように頭を捻るものも多く、やりごたえがある。 多少改善された日本語ローカライズ。 前作の日本語訳は、直訳気味かつ奇妙で意味が伝わりづらい表現も多々見られたが、本作では内容が十分理解できるレベルまで翻訳の質が向上している。 前述したパロディネタもちゃんと翻訳されており、日本人にも元ネタがわかりやすくなっている。 便利になった点。 装備品には移動に便利なものが増えている。中でもパラグライダー(ハングライダー)は空中を滑空することができるため、オープンワールドのマップを移動する際に重宝する。 車を奪い取って運転することができるようになったため、遠距離へ移動する際も地味に便利になっている。 昨今のオープンワールドゲームにはマストな機能である、ファストトラベル機能も搭載。ゴートタワー限定だが、テレポートすることができる。 賛否両論点 相変わらずバグが多い。 壁を突き抜けて入れないところに入れたり、キャラクターのモデルが荒ぶったりと、前作に引き続きバグが多く発生する。 とはいえ、前作の時点でバグっぽい挙動を楽しむゲームでもあるので、ある意味「『Goat Simulator』らしさ」が出ているとも言えなくもないが。 一応、ヤギがはしごを登る際のモーションがまともになっていたりと、修正されている部分もある。 問題点 前作同様、明確なストーリーが無い。 前作と同じ問題点。オープンワールドゲームとしての規模は大きくなった本作だが、前作と同じく明確なストーリーがないため、プレイヤーによっては何をしたらよいのか迷ってしまう。 尤も、「サブクエストなどの寄り道をしないと楽しめない」というのは、オープンワールドゲーム全般に言えることでもあるが。 一応、今作ではエンディング・ラスボスが用意されているものの、道中には全く関わってこないため、ラスボス戦まではプレイヤーの好奇心に頼らざるを得ない。 プレイスタイルによっては酔いやすい。 前作同様、本作も物理演算ゲーとしての側面があるのだが、操作キャラが壁にめり込んだり、空中を激しく飛んだりして、カメラが荒ぶったりすることもあるため、遊んでいるうちに3D酔いを引き起こす恐れもある。 総評 物理演算による独特な挙動・数多のパロディネタ・バグっぽい動作など、あの『Goat Simulator』の続編と呼ぶのに相応しい内容となっている。 その『Goat Simulator』らしさが残る一方で、美麗になったグラフィックや、意図的に仕込まれたバカ要素など、ゲームとしてのクオリティは前作と比べて格段に向上している。 そのため、前作が「いい加減に作られたバカゲー」と呼ぶなら、本作は「計算して作られたバカゲー」と呼ぶべきだろう。 オンラインマルチプレイに対応していることもあり、友人などと複数人で遊べば一層本作を楽しむことができるため、ふざけたバカゲーを遊びたいという方なら購入を検討してみてはいかがだろうか。 余談 2023年1月26日にはPS5にてパッケージ版、及び特典の付いた「GOAT IN A BOXエディション」も発売された。 ナンバリング『3』について。 概要にも書いた通り、本作は2作目であるのにも拘わらず、何故か『3』とナンバリングが付けられている。 これについてPlayStation.Blogにおいて開発スタッフたちの意見が載っているが、理由がバラバラどころか、ふざけた回答だらけである。ある意味『Goat Simulator』らしいとも言えるが。 + PlayStation.Blogの記事より引用 「ボックスアートに3匹のヤギがいるから」 – Rasmus Björk、コミュニティーマネージャー&シネマトグラファー「へ? 『Goat Simulator 2』ってまだ作ってなかったの?」 – Olivia Follin、プログラマー「前作からかなり時間が経っていて、タイトル名を『Goat Simulator 2』にしても、実装したシミュレーション技術の進化すべてを伝えきれないので」 – Sebastian Zethraeus、ゲームプロデューサー「続編が好きな人っていないし」 – Driton Gashi、デザイナー「メェェェェェェ」 – ピルゴール「理由はありました…。でも忘れちゃいました」 – Philip Bretschneider、3Dアーティスト「パブリッシングチームの誰かがそう言いだしたんだけど、だれも正さなかったみたいですね」 – Judith Radnitz、ゲームプロデューサー「『ゴッド・オブ・ウォーラグナロク』って名前はもう取られていたから」 – Santiago Ferrero、クリエイティブディレクター「まあ『Goat Sim 4』って呼んだらおかしいからね」 – William Birgersson、アートディレクター&レベルデザイナー「ただの打ち間違いでしょ」 – Helena Lindström、コミュニティーマネージャー「数字だ、メイソン。どういう意味なんだ?」 – Stuart Docherty、サウンドデザイナー「上述以外」 – CEO Sebastian Eriksson「ピルゴールは、ゴードンがやらないことをする」 – Joar Hedvall、プログラマー